2022.07.03 08:40
脱マスク「指導難しい」 高知県内校が熱中症対策に苦慮 運動中に着用の子も
携帯型の扇風機を手に、マスク姿で下校する生徒ら(高知市江陽町の城東中学校)
6月下旬の夕刻。蒸し暑い高知市の帯屋町アーケード街で、下校する生徒たちのほとんどがマスク姿だった。
炎天下の昼休みにマスクを着けたまま遊ぶ児童たち(高知市の小高坂小学校)
同市内の中学校長は「世の中の空気を読んでマスクを外さない子も多い。登下校時は外してもいいと声を掛けているけど、最後は本人が決めることですから」。小学校長も「感染リスクがある以上、体育などの授業以外で着脱の指示は出さないようにしている」といい、登下校時の着用は家庭の判断に任せていると明かした。
かんかん照りとなった平日の昼休み。同市新屋敷1丁目の小高坂小学校の運動場では、子どもたちが炎天下でもマスクを外さず、鬼ごっこやドッジボールに汗を流していた。
「暑いけど、友達と話すき、着けちゅう」。時折、マスクをあごにずらしては息を整えていた。
この日の最高気温は33・0度。校長は「熱中症が心配。運動場ではマスクを外してもいいと伝えているんですが…」。県内ではクラスター(感染者集団)が発生した学校もあり、別の校長は「積極的に『マスクを外しましょう』とも言いにくい」と悩ましげだ。
国がマスク着用を推奨する屋外の場面は「2メートル以上の距離を確保できない状態で会話する」時のみ。徒歩や自転車での通学などは基本的に着用不要としており、屋内でも2メートル離れてほとんど会話がない場合には外して構わないとしている。
文部科学省は5月24日に体育や運動部活動、登下校時は児童生徒にマスクを外させるよう全国に通知。さらにその後、各地の学校で体育中に熱中症で搬送される事例が相次ぎ、マスクを着用していた子どもも少なくなかったことから、6月10日にも「熱中症対策を優先するよう」求める通知を出した。
これを受け、校内放送で水分補給を促し、マスクを外すよう呼び掛けた学校も。教員が運動場で「暑さ指数」の計測機器を使って熱中症の危険性を調べたり、水泳の授業ではエアコンの効いた教室でマスク姿のまま準備運動をしてからプールへ出たりと、さまざまな手を打っている。
県教育委員会は「中高生に比べ、小学校低学年は自分でマスクの着脱を判断するのが難しく、教員が場面場面で指示する必要がある。熱中症は命に関わるので、再三注意してあげてほしい」としている。(玉置萌恵)