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2022.07.01 08:35

なはり線開業から20周年!延べ2360万人が乗車 人口減・コロナで経営厳しさ増す

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オープンデッキ車両から太平洋を望むごめん・なはり線の乗客(芸西村西分甲)

オープンデッキ車両から太平洋を望むごめん・なはり線の乗客(芸西村西分甲)

 2002年に開業した土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線(後免―奈半利、42・7キロ)が1日、20周年を迎えた。これまでの乗客は延べ2360万人。生活路線として地域を支えているものの、近年は沿線人口の減少や新型コロナウイルスの影響で苦しい経営を強いられている。

 同線は開業後、順調に輸送人員を伸ばし、13年度には133万人に。運輸収入も4億円前後で推移し、07~13年度は経常損失を1億円未満に抑えてきた。

 だが、高知東部自動車道・香南のいちインターチェンジ(IC)の完成で芸西西ICまで直結した14年以降、輸送人員はじわじわ減少。19年度は119万6千人と120万人を割った。

 さらに20年度、コロナ禍で102万6千人に激減。運輸収入も2億6900万円にとどまり、経常損失は2億8千万円を超えた。

 21年度は前年度末に開業した「あき総合病院前駅」の効果で通勤定期の利用が19年度比9・6%増となったが、輸送人員106万3千人、運輸収入2億8100万円と依然低迷。経常損失は2億7100万円を計上した。

 この20年で、安芸郡芸西村以東の人口は約1万9100人減って約4万2100人に。高知東部自動車道もさらに延伸予定で、厳しい経営環境が続く。

 県と南国市以東の11市町村でつくるごめん・なはり線活性化協議会は1988~2020年度、鉄道経営助成基金として計21億8200万円を積み立て。短期貸し付けや赤字補塡(ほてん)などで同鉄道を支援してきたが、新駅建設などで取り崩しが続いたため、21年度から5年間で10億円を再造成している。ただ同協議会は、コロナの影響が長引き、沿線人口の減少も続いた場合、早ければ26年度に基金が底をつき始め、28年度には枯渇する恐れもあると試算している。

 同鉄道は経営改善に向け、21年度以降は観光客の利用促進に注力。新規ツアーの企画に加え、期間限定でJR四国の観光列車も運行し、約100万円の収益を得るなどしている。

 協議会の会長を務める横山幾夫安芸市長は「通勤、通学になくてはならない路線で、高齢化社会で一層重要度は増す。(存続へ)沿線が一体となって観光客の呼び込みに力を入れていく」と話す。

 同鉄道安芸総合事務所の鈴木勝也所長は「今後も継続した観光列車の乗り入れや、開業当初に脚光を浴びたオープンデッキ車両の観光列車化、観光ツアーの充実を図り、少しでも多くの収益を上げたい」としている。(宮内萌子)

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