2022.06.29 08:25
闘病留学生ケサブさん死去 高知でがん手術 昨秋帰国 弟「高知の『家族』に感謝」
ネパール帰国後に結婚したカナル・ケサブさん。右隣は妻のナリナさん(2021年12月)
ケサブさんは龍馬デザイン・ビューティ専門学校(同市旭町2丁目)で日本語を学んでいた2020年冬、5年生存率が50%以下という「胚細胞腫瘍」と診断された。仲間が治療の支援金を募り、全国から約638万円が寄せられた。21年7月、同市内の病院で受けた腫瘍の摘出手術は成功。抗がん剤治療を続けていたが、肺への複数転移が分かり、10月、家族の元で治療しようと帰国した。
12月に婚約者のナリナさんと結婚。その後、インドに転居し、首都デリーの病院で入退院を繰り返しながら治療を受けていた。この間も高知への感謝を忘れず、近況を伝える動画を支援者向けに配信するとともに関係者と頻繁に連絡を取り、「妻を高知に連れて行きたい」「支援金が余ったら、僕みたいに困っている留学生に使ってほしい」と語っていた。
亡くなった6月24日は、いつものように病院近くの日本庭園を散歩。帰宅後に頭痛を訴え、手術を受けたが、同日午後3時(日本時間同6時)ごろに息を引き取った。遺体はネパールで火葬されたという。
高知で日本語を学んだ後は、ネパールと日本の架け橋になるような仕事をと、考えていたケサブさん。ジーブラジュさんは「皆さんは私たち家族より多くのことをしてくださった」「道半ばだった兄の夢をかなえる形で、僕が高知で学ぶことができれば」との感謝のメールを高知新聞に寄せた。(村瀬佐保)