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2022.06.26 08:00

【2022参院選 安全保障】冷静な議論が必要だ

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 ロシアのウクライナ侵攻は国際秩序を揺るがせ、日本の安全保障を巡る議論にも影響を与えている。防衛力をどう維持し、高めるのか。平和主義、専守防衛の理念を掲げる憲法も絡む問題は、日本の在り方に関わる主要な論点となる。
 先ごろのアジア安全保障会議で基調講演した岸田文雄首相は、ウクライナ侵攻は対岸の火事ではないと位置付けた。そして、「アジアに迫り来る挑戦・危機にこれまで以上に積極的に取り組む」と訴え、防衛力の抜本的強化を表明した。
 北朝鮮は今年に入り、弾道ミサイルの発射を繰り返している。核実験に向けた動きを見せ、最大20個の核弾頭を持つとする分析もある。ロシアは核使用の可能性をほのめかし、核の脅威が一段と高まっている。
 覇権主義的な姿勢を強める中国は、透明性を欠いたまま国防費を増額している。通常戦力のほか核戦力の増強が指摘される。海洋進出を活発化させ、沖縄県・尖閣諸島周辺での領海侵入が相次ぐ。
 台湾情勢も緊迫している。バイデン米大統領は、台湾有事の際は軍事的に関与すると踏み込んだ。これに対し中国は強く反発している。
 東アジアの安保環境は大きく変化している。日本が攻撃対象になったり、紛争に巻き込まれたりする恐れが取り上げられ、政界では防衛力増強への要求が強まる。政府は外交・安保施策の長期指針「国家安全保障戦略」などの年内改定を予定する。
 首相は日米首脳会談で、防衛費の「相当な増額」を打ち出した。北大西洋条約機構(NATO)加盟国は国内総生産(GDP)比2%以上を目標とする。自民党はこれも念頭に、5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指すことを掲げた。
 日本の防衛費はこれまで対GDP比1%程度で推移してきた。必要な装備を積み上げるとする主張の一方、軍事大国化への懸念も根強く、野党でも判断は分かれる。増額の場合の財源をどう確保するかも含め、議論を深める必要がある。
 相手領域内のミサイル発射基地などを破壊する敵基地攻撃能力も論点だ。ミサイル技術の向上に伴い、現行の弾道ミサイル防衛システムによる迎撃は難しくなっているとみられる。首相は安保戦略の改定へ向け、あらゆる選択肢を検討する考えを表明している。自民党は「反撃能力」と言い換えて保有を主張する。
 しかし能力保有は、米軍の打撃力に頼り、必要最小限度とした自衛力を変貌させる。米軍が「核の傘」を含め日本を防衛する「拡大抑止」や、核兵器を共同運用する「核共有」も論じられる。日米同盟での役割や核軍縮とも関わるだけに、冷静な議論が必要だ。
 憲法が掲げる理念との整合性も問われる。軍事力の増強一辺倒ではかえって緊張を高めかねない。普遍的価値に基づく国際秩序の構築へ、外交努力の重要性も増している。

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