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2022.06.23 08:00

【2022参院選 3度目の合区】高まる解消の必要性

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 きのう公示された参院選で、高知県は三たび、徳島県との合区選挙を余儀なくされている。2016年の導入以来、県民の多くが解消を求めてきたが、見通しすら立たない。参院、各党の姿勢を疑問視せざるを得ず、固定化を強く懸念する。
 合区は「1票の格差」の是正のために導入され、徳島・高知、鳥取・島根の4県が対象となった。地元代表を選べない不満は、投票率の低下などの形で顕著に表れ、本紙が19年参院選前、また今年5月に行った県民世論調査では「解消すべきだ」が8割超と圧倒している。
 自民党は6年前、解消を公約にしたが、めどが立たず、19年の参院選から比例代表に「特定枠」を導入した。選挙区に候補を立てられない県の候補を優先処遇することで、不公平感を拭おうとしたが、その場しのぎの弥縫(びほう)策であり、根本的な対応は持ち越していた。
 しかし、19年以降も解消に向けた動きは低調だった。
 参院の在り方を各党で議論する「参院改革協議会」が設けられたのは昨年4月。22年参院選での解消を目指すにはあまりに遅く、そこに意欲はうかがえない。今月まとめた報告書も各党の主張を列挙したにとどまる。意見集約の努力をせず、「方向性は示せた」とする座長の発言は詭弁(きべん)ではないか。
 そもそも、合区を決めた15年の改正公選法は、19年参院選までに「抜本見直しで必ず結論を得る」と付則で明記していた。現状について対象県への説明責任も果たすべきだ。
 都市部と地方の人口格差が広がる中、地方選出議員が減る流れは、衆院でも加速している。
 政府の審議会が、小選挙区定数を「10増10減」し、1票の格差を是正する区割り改定案を勧告した。人口比をより厳密に反映する「アダムズ方式」を初めて適用した。東京で5増など大都市部で議席が増え、地方の10県が減らされる内容だ。
 言うまでもなく、憲法が求める「投票価値の平等」は、民主主義の根幹をなす選挙制度の前提であり、追求していく必要がある。だが、国会議員の大都市偏在により、地方の実情や疲弊を伝える声が届きにくくなる懸念も膨らんでいる。
 だからこそ、参院で都道府県代表を確保していく意義は余計に重みを増したともいえる。今後、合区対象県の拡大も避けられず、解消の必要性は高まっている。参院の役割を正面から議論していくべきだ。
 衆参の二院制では衆院の優越規定があるが、参院は任期が6年で、解散もない。多角的、長期的な視点を反映させるためだ。そこに都道府県代表が地方問題を扱う役割を付与し、その機能と「1票の格差」との兼ね合いを考えていく―。そのような作業が求められる。
 参院選の公約で合区に対するスタンスは各党さまざまだが、少なくとも当事者である徳島・高知区の候補者は具体的に語る必要があろう。

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