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2022.06.20 08:36

ハマスイが動物ショー廃止「ありのままが理想の形」 高知市の桂浜水族館

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桂浜水族館で行われているアシカの「トレーニング」。動物の生き生きした姿に観客もくぎ付け(高知市浦戸)

桂浜水族館で行われているアシカの「トレーニング」。動物の生き生きした姿に観客もくぎ付け(高知市浦戸)

 桂浜水族館(高知市浦戸)がこのほど、動物ショーの廃止を発表した。新型コロナウイルス禍を機に、動物とスタッフにとっての「理想の形」(同館スタッフ)を模索した結果という。ショーに代わって、食事や動物が飼育員の指示でトレーニングする姿を「楽しんでほしい」と呼びかける。

 6月のある日。プール脇で飼育員が手を動かすとアシカがジャンプ。大きな水しぶきを上げて、観客を沸かせた。ただ、「いいね」とほめる飼育員の口元にマイクはなく、客に見せるためだけに行うものでもないという。

 別プールでは、2頭のトドがのったり寝そべったまま。「今日は朝からトレーニングしていません」と飼育リーダーの丸野貴也さん(27)。「繁殖期前で動きが緩慢になってるんです。そんな時にこっちの都合を優先させても仕方ないので」

 トレーニングなどは動物の気分に応じて、飼育員がそれぞれの判断で実施している。この日も奥ではアシカの赤ちゃんと飼育員が遊び、ペンギンが通路をぺたぺたと歩いていた。どれも予告して行ったり、放送でPRしたりしていなかった。

 同館では新型コロナ禍前までアシカ、カワウソ、トドのショーを行ってきた。だが2年近く、観客の集まるショーを中止。その間、ショーにかけていた各回30分ほどの時間が浮き、準備も不要になったことで、動物のトレーニングや健康管理に注力できるように。動物も飼育員も「生き生き」してきたという。

 今春には飼育員らでショー再開を検討したが、ショー以外でも動物の魅力を伝えられるとして「ないままでもいい」との結論に達した。9日に公式サイトで〝廃止宣言〟。訪れた客からショー再開を望む声などは出ていないという。

 現在、客が見られるのは、飼育員の指示で動物が体を動かすトレーニングの様子だ。

 トレーニングは環境の変化に乏しい飼育下では重要で、遊びや狩りの要素を交えて刺激を与える。動物が指示に慣れることで健康診断や治療が安全にできるようになり、野生では把握が難しい記憶力などの研究にもつながるという。

 基本的には食事時間に合わせて行うが、サプライズを楽しんでほしいと、あえて時間の告知もしていない。逆に、「何をやってるんですか」と飼育員に尋ねる客も出てきたそうで、以前より客とのコミュニケーションが増えたという。

 ショーの廃止については動物福祉の観点からフランスが2021年、施設でのイルカなどのショーを26年から禁止するといった法案を可決。ショーの廃止は世界的な潮流になりつつあるが、「うちは、ありのまま。それがハマスイらしいからやっているだけ。動物の状況に合わせて突然何かが始まる〝宝探し〟みたいな楽しみ方をしてもらえたら」と呼びかけている。(森田千尋)

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