2022.06.04 08:40
【写真特集】豊ノ島ありがとう 笑顔と涙の引退相撲
5月28日、東京・両国国技館。元関脇豊ノ島の井筒親方(38)=宿毛市出身、時津風部屋=は、土俵人生を締めくくる大銀杏(おおいちょう)を結い、琴奨菊(現秀ノ山親方)との「最後の一番」へと向かった。
2年前の春、大阪。幕下で迎えた現役最後の場所は、観客が誰一人いなかった。それがこの日は、割れんばかりの拍手に包まれている。「土俵に上がる時、鳥肌が立ちました。最高の時間でしたね」
永遠のライバルは情け容赦ない。得意の左四つから必殺のがぶり寄り。土俵際で豊ノ島は耐えて、粘って、残った。最後は逆転の寄り倒し。大けがで幕下に落ち、何度もくじけそうになりながら復活した現役時代を映し出した一番だった。
その不屈の闘志を支えたのは、妻の沙帆(すなほ)さん(40)と長女の希歩さん(9)。断髪を終えた父に娘が手紙を読んだ。
「とうとへ。私がお相撲を辞めないでって言って、辞めないでくれてありがとう。断髪式が終わったら必ずどこかに連れて行ってね。お菓子もたくさん買ってね。約束。大好きだよ」
断髪式で涙をこぼしたとうとは「ぐっと来たけど、かわいくてにやにやしちゃった」。やっぱり笑顔が似合う。土俵を、角界を、明るく照らし続けた男に、会場の気持ちは一つ。
「ありがとう、豊ノ島。お疲れさま、豊ノ島」
写真・森本敦士
文・仙頭達也
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(写真はいずれも東京・両国国技館)
豊ノ島=左=と琴奨菊の最後の一番。2人とも少年のような笑顔で、相撲を心から楽しんでいた
【おやじのはさみ】
父の梶原一臣さんにはさみを入れてもらい、目元をぬぐう豊ノ島。「あんだけ似たおやじ。ちょっとぐっと来るものがあった」
【家族の存在】
花束を贈った妻の沙帆さん=右=と娘の希歩さん=中央。家族の存在が豊ノ島をさらに強くした
番組で共演したダウンタウンの浜田雅功さん=右。断髪後は浜田さんに買ってもらったスーツを着て登場した
コロナ下で満員御礼とまではいかなかったが、それでもたくさんの人が最後の大銀杏姿を見届けた
【てっぺんが…】
断髪式を終え、整髪する豊ノ島。「てっぺんが全然残ってない! ブロッコリーみたいな頭にしたかったのに!」