2022.05.28 08:40
高知県産防災製品の売上高100億円 認定4倍183件、地産外商実る 21年度
12年3月。東日本大震災を受けて、内閣府が示した南海トラフ地震の被害予測は衝撃的だった。最悪想定下では、幡多郡黒潮町と土佐清水市を30メートル超、8市町を20メートル超の津波が襲い、30市町村で震度7を記録する―とされた。
各メーカーと県が防災関連産業交流会を組織したのはその4カ月後。大学教授らの審査で効果が認められた製品・技術を公的に認定し、防災産業として外商へとつなげる取り組みを進めてきた。
県は県産業振興センターと連携し、見本市への積極出展やセミナー開催でメーカーの開発を応援。12年度の認定47件、売上高約6千万円から、21年度末は4倍の累計183件まで増え、売上高は県目標の83億円を上回る102億2千万円となった。
21年度は、堤防工法や海上クレーンなど16件を新たに認定。単価の高い製品の受注が好調で、前年度から32億4千万円上昇した。
交流会が外商の武器として毎年発行するカタログには、飲料水や缶詰、地震速報サービスなど多彩な製品が並ぶ。
新型コロナウイルス下で営業活動が厳しくなる中、各メーカーが協力し合って自社以外の製品を含めてPRするなど、横のつながりも生まれてきた。
100億円突破に、県工業振興課職員は「感無量です」。「今後も増減の波はあるだろうけど、産業群としてアピールできる節目になった。これに満足せず、500億円、1千億円と広げたい」と意気込む。(新妻亮太)