2022.05.26 08:48
消防士辞め「女子硬式野球に人生ささげる」 元高知中央高コーチ藤崎さん、明治大で同好会設立
女子部員に指導する藤崎匠生さん(川崎市の明治大学グラウンド)
高知市出身の藤崎さんは、同高校で野球部に所属。卒業後の2017年から両親の古里の高岡郡越知町で消防士として働いていた。
19年、同校に女子硬式野球部が発足すると県内外の10人ほどが入部。男子野球部長だった西内友広監督に誘われ、練習を手伝うようになった。当時は女子野球にさほどの興味はなく、月1回参加する程度だったという。
考えが変わったのは、その年の冬に愛媛県で行った合宿がきっかけだった。朝から晩まで練習漬け。泣きながらノックボールに食らいつく選手の姿に「『野球がしたい』というひたむきな姿勢に、心をやられた」。週1、2回は練習に参加するようになった。
昨年8月の全国大会では、それまで全国で勝ち星のなかったチームが勢いに乗り決勝進出を果たした。
舞台は高校野球の聖地、甲子園。スタンドから、カクテル光線に照らされ笑顔でプレーする選手を見守り、「言葉で表せないぐらい感動した。女子野球発展のために人生をささげる」と決意した。
全日本女子野球連盟によると、全国の高校の硬式野球部は50だが、大学は10とまだ少ない。藤崎さんはプレーの場を広げようと大学進学を決め、昨年10月、明治大学の特別入試に合格した。
入学直後に同好会の「女子硬式野球クラブ」を立ち上げ、SNS(交流サイト)などで100人以上に声がけ。1~3年生20人が入部し、5月に本格的な練習を始めた。経験者は1人もいないという。「小さい時にお父さんとキャッチボールしたぐらい」という1年の高林奈々さん(18)は、藤崎さんの熱心な勧誘で入部。「『女子野球を広めたい』という熱い思いがほとばしっている。私もちょっとは力になりたい」と練習に励む。
当面は週3回ほど活動する予定で、ゆくゆくは大学の部活動に加わることを目指す。
藤崎さんは「教員免許も取る。どんな形でもいいから、将来も女子野球に関わりたい」と話している。(浜崎達朗)