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2022.05.23 08:40

〝スパイス〟満載のアート空間 「ここは何屋なが?」(高知県安芸市)―フォっトけないす

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築90年の古民家を改装した「錆と煤 満寿店」。座敷席もあれば、半分屋外のようなカウンター席も(写真はいずれも安芸市土居)

築90年の古民家を改装した「錆と煤 満寿店」。座敷席もあれば、半分屋外のようなカウンター席も(写真はいずれも安芸市土居)


 安芸市土居ののどかな田園地帯。お昼時、野良時計周辺に食欲をそそるスパイシーな香りが漂ってきた。たどった先は一軒の古民家。引き戸に立てかけたメニューの黒板がなければ、料理店とは気付かない。

近所の人らでにぎわうキッチン前のカウンター

近所の人らでにぎわうキッチン前のカウンター

 「錆(さび)と煤(すす) 満寿(コトブキ)店」。3月の開店以来、近所のお年寄りらが「ここは何屋なが?」と物珍しそうに訪れる。

 インドの陽気な音楽が流れる店内には、ターバンで髪を束ねた店員さんたち。かと思えば、年季の入ったしょうゆ屋の前掛け姿で、店主の山田和子さん(41)が現れた。

 「とにかく古いものや、さびが好き」

 店はもともと、山田さんの祖父母が住んでいた家で築90年。それを県外で着物のデザインを手伝ったり、自作のアクセサリーを販売したりとアート経験豊富な山田さんが自ら改装したという。

カレーや野菜が目にもおいしいひと皿

カレーや野菜が目にもおいしいひと皿

 ゴツゴツした土壁に何色ものペンキを塗り重ね、土間にはエスニックな柄の布や流木を埋め込んである。かつて祖父が自転車店を営んでいた空間は、当時の工具やさびた部品をインテリアとして生かした。ほかにも山田さんが収集した古い水筒や傘、流木…。さびたトタンの端切れまで飾られている。

 何かと〝スパイス〟の多い店の主力メニューは、南インドの定食「ミールス」(千円。ランチ営業は火、水曜)。パラパラのインディカ米ともちもちのコシヒカリに、ココナツや豆のカレー、色鮮やかな野菜のおかずが添えられている。

 店内同様、皿の上も〝カオス〟だが、混ぜて食べると一口ごとに違う味と食感を楽しめる。山田さんいわく「皿の上にジオラマを作るような感覚」で、彩りや食感、辛み、甘み、酸味、苦みのバランスを考えて作るという。

 ちなみに南国市には6年前から営む「錆と煤」の1号店があり、こちらも古い小屋を改装しているそうだ。

 「料理もクリエーティブな活動の一種。ただの飲食店じゃなく、いろんなものづくりを発信する場にしたい」と語る山田さん。ゆくゆくは2号店でアート作品の展示や体験型イベント、宿泊プランをと構想を広げている。

 またこう言われるだろう。「何屋なが?」(安芸支局・宮内萌子)

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