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2022.05.22 08:45

[県体2022] 相撲 全国決定戦はマネジャー対決 高知農―高知工

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マネジャー対決となった高知農業高の岡林翔太さん=左=と高知工業高の徳永琉馬さんの一番(写真はいずれも高知市の春野相撲場、佐藤邦昭撮影)

マネジャー対決となった高知農業高の岡林翔太さん=左=と高知工業高の徳永琉馬さんの一番(写真はいずれも高知市の春野相撲場、佐藤邦昭撮影)


 21日から始まった県高校体育大会(県体)の相撲競技で、マネジャーも土俵に上がる総力戦が展開された。高知農業と高知工業の大将戦は、どちらも部員不足で男子マネジャーが名を連ね、大会関係者も「今までなかった」というマネジャー同士の一戦が実現する珍事に。相撲初心者の2人が、地元で開催する全国高校総体(インターハイ)出場を懸けチームの命運を背負って体をぶつけ合った。さて軍配はどっちに―。

 県体の相撲団体は5人制。今大会に出場する3校中、選手を全員そろえられたのは明徳義塾だけで、高知農は4人、高知工は3人と選手が足りなかった。慢性的に部員が少ない両校は、これまでの大会でも対戦相手が選手をそろえられない場合を想定して、マネジャーの名前を借りて不戦勝をもくろむことがあったという。

 今夏、四国で開催される全国高校総体。相撲競技は本県開催のため出場枠が2校に拡大。優勝候補明徳に続く2枚目の切符をつかむべく、高知農の石川雅也監督は今回もマネジャーの岡林翔太さん(3年)を「口説き落として」メンバーに入れた。

 一方、高知工の田所伸一郎監督は「高知農は大将にマネジャーを入れるかも」と相手のオーダーを読み、マネジャーの徳永琉馬(りょうま)さん(3年)に頼み込んで大将に入ってもらった。すると、その狙いはずばり的中。副将戦を終えて勝負は決さず、大将戦でまさかのマネジャー対決が実現した。

 ◇  ◇ 

 175センチ、68キロでスラッとした高知農の岡林さん。中学は野球部だったが、高校は「マネジャー業の方が好き」と、父親が監督(当時)と知り合いだった相撲部に入部。「サポート役が合っている」と日々の掃除や洗濯をこなし、全国出場も果たす部員の稽古を見守ってきた。

 一方、高知工の徳永さんは「最近、少し食べ過ぎて」と173センチ、90キロの立派な体格で、中学はバドミントン部。高校で同じ中学の同級生、山下武蔵さんと吉良透希さんに誘われ、相撲部のマネジャーになった。飲み物の用意に風呂沸かしと選手を支える傍ら、昨夏も県体や四国選手権には一時的に選手として出場し、白星を挙げたこともある。

 そんな徳永さんでもほぼ1年ぶりの相撲に「不安です…」とこぼし、ほぼ初挑戦の岡林さんも「あまり乗り気じゃない」と苦笑い。それでも2人は県体に備え、大型連休明けから、マネジャーの仕事をこなしつつ、まわしを締めて、軽めの稽古で備えてきた。

 ◇  ◇ 

大一番の後、お互いの健闘を笑顔でたたえた

大一番の後、お互いの健闘を笑顔でたたえた

 全国切符を懸けた大一番。東に高知農の岡林さん、西に高知工の徳永さん。立ち合い、初心者とは思えない頭からのぶつかりを見せた徳永さんに対し、岡林さんは細い右腕を相手の脇にねじ込む。がっぷり四つの熱戦は、岡林さんが体をのけ反らせて踏ん張ったが、体格で勝る徳永さんが攻め続けて寄り倒し。高知工を14年ぶりのインターハイに導いた。

 「ずっと緊張と不安があったけど、勝ててホッとした」と安堵(あんど)の表情を見せた徳永さん。敗れた岡林さんは「なかなか味わうことのない緊張感はいい経験になりました」と落ち込んだ様子はなし。

 選手もマネジャーも、同じ目標へと向かう仲間同士。勝者も敗者もチームの絆を一層深めた土俵だった。(仙頭達也)

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