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2022.05.22 08:40

高知県立牧野植物園の元職員に植物園界の最高賞「木村賞」 〝レジェンド〟稲垣典年さん「長年関われ幸せ」

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「植物園には『自然を浅く広く』見る視点も大切」と語る稲垣典年さん(高知市の牧野植物園)

「植物園には『自然を浅く広く』見る視点も大切」と語る稲垣典年さん(高知市の牧野植物園)

 高知県立牧野植物園(高知市五台山)の元職員で現在アドバイザーを務める稲垣典年さん(81)が、全国の植物園でつくる公益社団法人「日本植物園協会」が贈る賞の中で最も栄誉ある「木村賞」を受賞した。稲垣さんは「13代の園長に仕え『世界に通用する園を』とやってきた。長年関わってこられて幸せです」。穏やかな笑顔を見せた。

 同協会は園の管理や植物の育成・研究などの功労者を毎年表彰している。中でも、同協会の発展に尽くした木村亘さんにちなむ木村賞は特に栄誉ある賞。牧野植物園では、2020年度に浜口宗弘・栽培技術課長が受賞している。

 稲垣さんは室戸市出身。東京・小石川植物園(東京大学院理学系研究科付属植物園)などを経て、1970年に牧野植物園職員となった。

 園の歴史の生き証人であり、高知をはじめ西日本を中心に植物コレクションを築いてきた「レジェンド」(同園職員)。全国的にも知られた存在で、同協会担当者も「今まで受賞していなかったのが不思議」と言うほどだ。

 その活躍は多岐にわたる。70年当時の故・山脇哲臣園長(5代目)の「世界に通じる植物園に」という言葉を胸に県内外で収集・研究を行い、生態に応じた植栽方法を提案。貴重種の保全も進めてきた。「県植物誌」「土佐の薬草」などの書籍の執筆・編集にも携わった。

 植物の案内人として、あちこちの観察会などに登場。植物や牧野富太郎博士の魅力を分かりやすく実直な語り口で伝えてきた。話を聞くために、遠方から足を運ぶ人も多い。

 博士が植物採集した道を再発掘して散策コースづくりも。高岡郡佐川町の牧野公園再生といった地域の活動も支援してきた。

 2001年に定年を迎えた後は嘱託職員として活動してきた。現在は岡山市在住だが、月に数回帰高しては後進の指導や植物観察会の解説役などを続けている。

 山脇園長にかけられた言葉から、広い視野を持つことを心掛けてきたという稲垣さん。「これからは岡山や広島で植物や、牧野博士が歩いた道の調査、発信に取り組みたい。毎日楽しいよ」と目を輝かせた。(森田千尋)

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