2022.05.16 08:45
介護保険料の還付金詐欺が高知県内で続発、被害8件682万円で昨年越え...コロナに乗じる手口も
今年発生した被害は共通している。自宅に行政職員をかたる人物から電話があり「保険料が払い戻せる」「期限は今日まで」などとATMへ誘導。携帯電話で指示されるままATMを操作すると、気づかないうちに自らの口座から他人の口座に送金させられていた。
ある女性は、「3万3700円の払い戻しができる」と電話を受けATMへ。金額入力画面で「個人番号」として「499」、「還付金のゼロを除く数字」として「337」を入力させられた結果、振り込み上限額に近い「49万9337円」をだまし取られていた。
詐欺の電話は金融機関の窓口営業が終わる午後3時以降に集中。休業日の土曜にかかってきた事例もある。捜査関係者は「ATMしか利用できず、職員も対応できない日時を狙っている」とみる。
5月6日には被害者3人が「03」で始まる同じ番号から電話を受けており、詐欺グループが一斉に電話をかけたとみられる。
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還付金詐欺は2017年に4件発生して以降、ゼロが続いていたが、新型コロナ下の21年に再び増え始めた。手口も時勢に合わせて巧妙化している。
4月28日、高知市の60代女性が約33万円をだまし取られたケースでは、市職員を名乗る男が「コロナなので窓口には行かずATMへ行って」と電話で伝えたという。
被害に至らなかったものの、「コロナ禍なので電話で連絡している」「コロナで払い戻し申請できていない人がいる」と不審な電話を受けた人もいた。
県警は、詐欺グループが「還付金」の甘言で誘う▽「今日までが期限」と焦らせる▽時機に乗じたうそで警戒を解かせる―といった「心理戦を仕掛けている」と指摘。「不審な電話は、落ち着いて家族や警察に相談を」と呼び掛けている。(馬場隼)