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2022.05.08 08:40

【大心劇場】山の映画館から平和願う―高知ウィズコロナ連休(7=終)

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ウクライナを思い「ひまわり」を鑑賞する人々。山あいの小さな映画館に、普段の何倍もの人々が押し寄せた(写真はいずれも安田町の大心劇場)

ウクライナを思い「ひまわり」を鑑賞する人々。山あいの小さな映画館に、普段の何倍もの人々が押し寄せた(写真はいずれも安田町の大心劇場)

 最長10連休だった今年のゴールデンウイークが終わる。多くの人が観光やレジャーを楽しんだ平穏な日々。だが、海の向こうに目を転じると、ロシアによるウクライナ侵攻が休みなく続く。連休中、かの地に思いをはせ、平和を願う人々が、安芸郡安田町の山あいにある小さな映画館に集った。

 1970年公開のイタリア映画「ひまわり」。第2次世界大戦によって引き裂かれた男女の過酷な運命を描いた名作で、印象的な場面として登場するヒマワリ畑はウクライナで撮影された。

 この作品を4月29日~5月7日に上映した、同町内京坊の大心劇場。普段の観客は1日平均20人足らずというアットホームな映画館だが、今作は初日から63人が訪れ、その後も50人超えが続く異例の客入りとなった。

 青春時代に1度見たという南国市の小松綾子さん(70)は「男女2人の戦後を追って、戦争の悲惨さを見事に描いている。言葉にならない」とため息。罪のない市民が尊い命を落としている現状に「全てはプーチンの欲」と断罪した。

 若いカップルも、作品の世界と現実とを重ね合わせていた。「映画と同じような離別が今、繰り返されている。許せない」と、高知大学4年の宗形柾志さん(22)。秋田桜さん(21)も「私たちは屈託なく連休を楽しめている。でも、こんな日常は決して当たり前じゃないと思い知らされた」と目を伏せた。

 高知市の鈴木優子さん(52)は上映の最終盤、大写しになった広大なヒマワリ畑に涙した。「あのヒマワリの下には、亡くなった兵士らが埋まっている。一人一人にかけがえのない人生、ドラマがあった。そう思うと、胸が締め付けられて…」

和平を願い看板を描く館主の小松秀吉さん

和平を願い看板を描く館主の小松秀吉さん

 フォークシンガーでもある館主の小松秀吉さん(70)は上映前、自身の曲「風を届けたい」の歌詞を一部変え、「平和の風を届けたい ウクライナに届けたい」と歌った。「多くの人が来て、ウクライナに心を寄せてくれた。ほんの小さな取り組みだが、上映した意味はあった」

 映写機が止まった真っ白なスクリーンに、山里に集った人々の祈りがいつまでも焼きついているように見えた。一刻も早く、穏やかな日々が訪れますように―。(中芸支局・植村慎一郎)=おわり

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