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2022.05.06 08:33

手押し車に愛犬乗せ散歩、86歳の尾原さん(田野町)―フォっトけないす

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手押し車に乗り散歩をするリオン(写真はいずれも田野町)

手押し車に乗り散歩をするリオン(写真はいずれも田野町)

 ゴロゴロゴロゴロ…。タイヤが転がる音とともに、高齢の男性が住宅地で手押し車をゆっくりと進めていく。乗っているのは1匹の犬。「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん…」。すれ違った人は、往年の人気時代劇「子連れ狼(おおかみ)」の挿入歌を口ずさんだ。

飼い主の尾原幸一さんの元へ歩いていく

飼い主の尾原幸一さんの元へ歩いていく

 なんともほほ笑ましい街角の一こま。だが、犬には自力で長い距離を歩けないわけがあった。

 車を押す高知県安芸郡田野町の尾原幸一さん(86)。愛犬リオンは雄のダックスフントで12歳。2歳の時、孫の家から受験が終わるまでとの約束で一時的に預かった。

 居心地が良かったのか、リオンはそのまま腰を落ち着ける。愛犬の存在は、妻、恵美子さん(80)との暮らしに会話と笑いをもたらした。家族の一員となったリオンは、今や夫妻の生きがいだ。

 そんな尾原家に衝撃が走ったのは一昨年6月。リオンが散歩中に再々立ち止まり、幸一さんの顔を不安そうに見つめた。主治医の診断を仰ぐと、心臓や腎臓、肝臓、胆のうなどの数値が異常を示していた。全身の衰弱。「いつどうなってもおかしくない。あと2年生きられるかどうか…」と告げられた。

 治療のかいあって、幸いにも病状はさほど進まなかった。リオンは散歩に出たがった。「歩くによばんき楽やろう」と購入したのが手押し車。これで朝昼夕と散歩に出られるようになった。

お隣さんと会い頭をなでてもらう

お隣さんと会い頭をなでてもらう

 リオンは寒さが苦手で、冬の間は散歩はお休み。春の訪れとともに再開した。田野中学校近くの広場では放し飼いにしてもらい、数十メートル歩く。離れて待つ幸一さんの元へ、よろよろしながらもまっしぐら。頭をなでられ、目を細めて喜んだ。

散歩の後、足を洗ってもらい気持ちよさそうな表情

散歩の後、足を洗ってもらい気持ちよさそうな表情

 6月が宣告された命の期限だが、夫妻は「元気やき、まだまだ大丈夫」。リオンと一日でも長く一緒にいられるよう願っている。(中芸支局・植村慎一郎)

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