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2022.05.03 08:40

高知の女性、未婚率日本一 5人に1人独身 経済力理由?男性の低所得も要因か

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 高知県内女性の「50歳時未婚率」は、2020年の国勢調査を基に本紙が従来の計算方式ではじくと20・3%となり、1965年から首位だった東京を抜いて1位になることが分かった。識者らは、県内女性の社会進出や経済的自立、さらに男性の所得の低さを要因に挙げる。男性も全国5位の28・0%だった。

 全国平均は女性16・4%、男性25・7%で、前回2015年調査よりそれぞれ2・3ポイント上昇した。県内は女性が前回4位の16・5%から3・8ポイント、男性は9位の24・8%から3・2ポイント上昇している。

 ただ、国は20年調査から計算式を変更。婚姻関係が不明の人が多い都会ほど未婚率が高く出るようになった。この方式だと、本県は女性が21・1%で東京に次いで2位、男性は29・5%で6位。いずれにせよ、男女とも全国で最上位グループだ。
「社会環境が変わり、皆婚時代ではなくなった」と話す池谷江理子氏(高知市内)

「社会環境が変わり、皆婚時代ではなくなった」と話す池谷江理子氏(高知市内)


 女性の労働に詳しい高知大学地域協働学部の佐藤洋子講師(41)は「女性が社会で頑張ってきたから」とし、県内はフルタイム勤務の男女の賃金格差が小さい▽女性の役員・管理職割合が全国トップ級―など、経済的に自立し得る構造を理由に挙げる。

 経済地理学を研究している高知高専の池谷江理子名誉教授(71)は、県内では1945年に県立女子医学専門学校(現・高知県立大学)が開校するなど、早くから女性が学ぶ環境が整っていた点を指摘する。

 「現在50歳の人が社会に出たころは、85年に男女雇用機会均等法ができて女性の雇用が増えた。高知は女性への教育が熱心で、教育や医療、福祉の分野で活躍したが、職場には女性が多く、出会いが限られていた」

 過去の国勢調査によると、現在50歳の県民が20~24歳で結婚の適齢期を迎えだした85~90年の5年間に、県内の男性人口は3割超減ったが、女性は2割弱にとどまる。「ちょうどバブル期でにぎわっていたころ。男性が仕事や高等教育を求めて都会に出て、県内の男女バランスが崩れたことも一因」とみる。

 一方、独身研究家で「結婚滅亡」(あさ出版)などの著作がある荒川和久さんは「男性側の状況を見落としてはいけない」と強調する。「全国でも、年収300万円未満の男性の生涯未婚率は35%以上。結婚適齢期とされる25~34歳の未婚男性の所得は、高知が最低水準だ」

 さらに、全国平均より婚姻率が低いが離婚率は高い都道府県は高知や宮崎、鹿児島など14あるとし、「女性が離婚を申し立てる理由の上位は、借金など夫の経済的問題。男性の収入が婚姻減と離婚につながっている」と指摘した。

 県は2010年に出会いを応援するボランティアの婚活サポーター制を導入し、16年には交流サイト「高知で恋しよ!!」を開設するなど婚活を公的に支援している。

 今回の結果に子育て支援課は「個人の多様な結婚観は尊重すべきだが、出会いが少ないという声には行政として応えたい。今後もサイトの周知やイベント開催で出会いの場を広げていきたい」としている。 (安岡仁司)


 【ズーム】50歳時未婚率 国勢調査を基に、45~49歳と50~54歳の未婚者の割合を平均して算出する。政府は「生涯未婚率」としてきたが、約5年前に今の用語に変更。さらに2020年分から、それまで除外していた配偶関係不明の人を未婚や離婚、死別などの比率に案分する方式に変更した。全国は10年に男性が20%、女性は10%を突破。35年には男性29%、女性19%に上昇すると推定される。

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