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2022.04.23 08:33

食物語は「口福」の始まり 自然イタリア料理da zero・的場篤志さん・翔子さん―素晴らしき「こうちじん」たち(3)

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オーナーシェフの的場篤志さんと、サービス担当の翔子さん。翔子さんの料理の説明からは生産者の想いも伝わってくる(写真はいずれも門田幹也さん撮影)

オーナーシェフの的場篤志さんと、サービス担当の翔子さん。翔子さんの料理の説明からは生産者の想いも伝わってくる(写真はいずれも門田幹也さん撮影)


 毎年12月発行の季刊高知の冬号は「高知の食物語」というタイトルで、ボクがこだわりを感じられる飲食店を取材している。食材・調理法、おもてなし、空間…。「店主の顔が見える」ということを大事にしているので、ご主人(オーナーシェフ)、あるいはご夫婦などで経営する小規模なお店が必然的に多くなる。

 取材候補リストは秋号の発行が終わった時点でつくる。情報源は基本的に口コミ。食へのアンテナが高い知り合い10人前後に「最近、いいお店に行かれましたか?」などと聞き取る。食にこだわりを持つ個人のブログも参考にする。こんなことを書くと、いかに他人任せかということが分かってしまう(笑)。

 リストをもとに、まずは家族、あるいは友人と「普通に」その店に食べに行く。料理人の手仕事を見ているだけで楽しい。食材のことや調理方法についても聞いてみたくなる。だから、居酒屋や小料理屋ならば、可能な限りカウンターに座る。

 味に加えて、お皿や盛り付けの美しさ、空間の雰囲気、椅子の座り心地なども気になるが、そんなことはひと品目が出てくるまで。アルコールが入れば単純にその時間を楽しむ。取材先は、ジャンルに偏りがないよう、地域性も考えながら絞っていく。取材の本番でもお金を払って撮影し、その後にカメラマンと一緒に食べるものだから、秋から冬は体重アップ期間になる(笑)。

 季刊高知79号では「地元食材を大事にしたお店」をテーマに、5軒のお店と、幡多郡黒潮町でサトウキビを生産、商品化している上樫森さんを取材させていただいた。その特集の前文には「生産者からバトンを継いで料理する彼らからは、誠実さと優しさ、思いやりが伝わってくる。どれもが『美味(おい)しさ』とつながっている。さあ、口福の時間のはじまりだ!」と書いた。ボクの中では食べる幸福は、「口福」なのである。

暮らすように働くことを選択したご夫婦
 取材させていただいたお店の一軒が、高岡郡佐川町の田園風景に溶け込んでいる自然イタリア料理「da zero」。オーナーシェフの的場篤志さんと奥さんの翔子さんが営んでいる。店名のzero(ゼロ)は、フードロスをゼロにする、食品アレルギーがある方のハンディキャップをゼロにする、という思いに由来する。そして、地域の風土を感じる安心・安全な食材を使うスローフードを実践している。

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