2022.03.19 08:34
一絃琴、時代超え染みる音色―[音土景] 音感じる土佐の風景(15)
高知市の城西公園の北側。江ノ口川沿いにある寺田寅彦記念館(小津町)から、春の日差しのような優しい旋律が流れてくる。
中をのぞくと、土佐の伝統楽器、一絃琴(いちげんきん)を弾く人々。「かわいらしさの中に愁いを帯びた、なんとも情のある音でしょう」
正曲(せいきょく)一絃琴白鷺会の会長、森本和子さん(75)が目を細める。
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一絃琴は長さ1・1メートル、幅12センチほどの桐(きり)の板に1本の弦を張った楽器。奏者は左手の中指と右手の人さし指にはめた円柱形の奏具(蘆管(ろかん))を使い、左手で弦を押さえ右手で弾く。平安期にもつま弾かれていたという。
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