2022.03.08 08:18
子育ては心の響き合い 小児科医・沢田さん「思いを話してみて」―ココハレ ピックアップ
「大人に甘えたり、かわいがられた経験は温かい物語として心に染み込む」と語る沢田敬さん(高知新聞社)
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沢田さんは県立西南病院小児科部長、県立中央児童相談所の医務主任などを歴任。現在は認定NPO法人「カンガルーの会」の理事長を務めています。
親子関係を築く上で大切なのが乳児期からのコミュニケーション。沢田さんは「心の奥底で響き合う『間(かん)主観性』と相手の気持ちに応じる『情緒応答性』が大切」と説明します。
例えば、赤ちゃんの機嫌が悪くなった時に「眠いのかな」と察するのが間主観性で、「すぐにおんぶして子守歌を歌う」という対応が情緒応答性。「大人に温かく育てられた経験が支えになり、わが子にも同じように接することが自然にできます」
一方で、温かく育てられた経験がないまま成長する場合があります。虐待はその一つで、「親に激しくたたかれた、縛られたといった経験は体と心の傷になります」。虐待まではいかなくても、親にかまってもらえなかった経験は小さな心の傷として積み重なり、親子の心のすれ違いにつながります。
「忙しくて、子どもの相手ができないという経験は全ての親に当てはまりますし、ゼロにすることは不可能ですね」。時間ができれば抱っこするなど、意識して心の傷を消していくといいそうです。
子どもの安心感を育む原点は「この子は世界一かわいい」という親の感性。一方で、沢田さんらの調査では1割程度の親が「子育てが楽しくない」「わが子をかわいいと思えない」と感じています。
「背景には、親にのびのびと甘えた経験がない、DVや経済的問題を抱えているといった事情がある」と沢田さん。「こうした感情を持つことは恥ずかしいことではありません。保健師さんでも保育士さんでも、友達でも近所の人でもいい。あなたの思いをじっくり聞いてくれる人に話してみてください」(メディア企画部)
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