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2022.03.07 08:36

リメークで服に個性を セレクトショップ経営 平田彪斗さん(22)高知市―ただ今修業中

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「気軽に遊びにきてもらえる店にしたい」と話す平田彪斗さん(高知市中宝永町)

「気軽に遊びにきてもらえる店にしたい」と話す平田彪斗さん(高知市中宝永町)

 若者向けの服を中心にアクセサリーなどが並び、雰囲気のいい音楽が流れる店内。その中で、古着やネクタイ、着物を裁断し、縫い合わせた独創的な服が目を引く。

 高知市中宝永町のセレクトショップ「TONs of Relax(トンスオブリラックス)」は、昨年12月に移転オープンしたばかり。

 「『これいいな』とお客さんに手に取ってもらいたくて。買う物だった服がいつの間にか作る物、売る物になってます」

 接客の合間に、奥にある作業スペースでミシンに向かう。専門学校や服飾店を経ずに独学で始めた服作りは研究の日々で、「基礎がないから失敗って感覚がなく、毎回発見の連続で楽しいんすよ」と生き生きとした表情で語る。

好きな言葉

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 高知市出身。高校時代は陸上に打ち込んだ。棒高跳びで県高校記録を塗り替え、国体にも出場した。「ほぼジャージーで生活。ファッションとは無縁でしたね」と笑う。

 卒業後は東京の大学に進学したものの、学ぶ意義を見いだせず中途退学。飲食店でのアルバイトも新型コロナウイルス禍で続けられなくなり、「経済が止まっている。ここにいても駄目だ」と帰高を決めた。

 一方で、東京での生活は、ファッションという夢中になれる世界を見つけるきっかけにもなった。まず驚かされたのは「若者が自信を持って個性的な服を着こなしていた」こと。古着店で手に取ったリメークの独創的な服の魅力に引かれ、大学の友人とオリジナルの服作りに挑戦するようになった。

 帰高後は実家で過ごす日々だったが、ペットサロンを経営する母の勧めもあり、「好きな服を選んで自分の店で売ってみたい」と一念発起。2020年11月、はりまや橋商店街に小さなセレクトショップを開店したものの、コロナ禍で商店街の人通りは少なく、「好きなアイテムや一点物にこだわりすぎたのもあって、あまり受けなかった」と経営の難しさを痛感したという。

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 そんな中、活路を見いだしたのが服のリメークだった。開店1カ月後、初めてミシンを使い服を作ってみると、次々とアイデアが湧いた。

 白のトレーナーの袖に緑のチェックのシャツを縫い付けたシンプルな服や、複数のネクタイを使って肩や胸に巻く女性向けのアイテム…。大胆な発想でリメークした服を店頭に並べると、「他にない服でいろんな使い方ができる」とお客さんも面白がって服を選んでくれるように。古着を持ってきてもらい、服のリメークの注文も受けるようになった。

 一回り広い現在の店舗に移転した後は、子ども服から古着、ハンドメードのアクセサリーなど幅広いアイテムを置く。接客にも慣れ、「服はネットでも売れるけど、お客さんと話して、見て着てもらえる店舗があるのは大きい」と実感している。

 「好きな服を着続けたら、その人の個性になっていく。『似合わないかも』と尻込みせず、もっと服選びを楽しんでほしい。リメークでその選択肢をつくりたい」

 葛藤の末に見つけたファッションの道。もがきながらも一歩ずつ前に進んでいる。

 写真・反田浩昭
 文 ・楠瀬慶太

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