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2022.02.26 08:35

人生楽しむケーキと店主 えんのお菓子屋さん 苅谷辰雄さん・民子さん―素晴らしき「こうちじん」たち(1)

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ブルーベリーの畑で果実を摘む苅谷さん夫妻(香美市香北町梅久保、写真はいずれも門田幹也さん撮影)

ブルーベリーの畑で果実を摘む苅谷さん夫妻(香美市香北町梅久保、写真はいずれも門田幹也さん撮影)


 季刊高知の巻頭を飾る「特集」は、人物や店(モノ)、イベント(できごと)など、ボクが取り上げたいテーマをそのつど追いかけている。その一方、冬号の飲食店「高知の食物語」や夏号の「こだわりの宿」は、ボクの好きなテーマとして長年続けている企画だ。

 飲食店も宿も大規模なところ(自力で広報する能力がある施設)はそれぞれに任せて、店主ひとり(あるいはご夫婦)で営んでいる料理店や家族経営の宿など、それぞれのカラーが醸し出されているところを取材する。どんな思いで始めたのですか? どう運営しているのですか? こだわりは何ですか? そんなことをつい聞きたくなる。同じように、イベントなどの企画にしろ、高知の食材を使った加工品づくりにしろ、やはり、すべては「人」。高知の人の魅力は、「経済的なゆとりを求める」というより「人生を楽しんでいる」ところにあるような気がする。

 ボクがここ数年で出会った人を中心に素晴らしき「こうちじん」を今年1年、紹介していこうと思う。

凜として
 2020年夏、季刊高知78号で県内のケーキ店を特集しようと思った。高知市内はケーキ店があまりに多いので、高知市以外のお店を探すことにした。ネットや知人らの情報を頼りに、リサーチする。そんな中、「化学肥料や農薬を使わず、すべて露地で自家栽培した果実や野菜をケーキや焼き菓子、ジャムなどに使っている」という情報を入手した。

 ある暑い日、まずは取材抜きで、家族で南国市にあるお店「えんのお菓子屋さん」に足を運んだ。冷房を使わず、外から吹き込む風とうちわ、扇風機で涼を取る環境に配慮した店だった。パティシエ兼カフェ店主の苅谷民子さんと雑談をしながら、少し果実のことを聞いた。その対応には信念というか、凜(りん)とした佇(たたず)まいを感じ、もっと話を聞いてみたいと思った。こういう出会いは編集者冥利(みょうり)に尽きる。

 その後、正式に取材をお願いした。果実を栽培している畑に行きたい、と希望を伝え、お店の定休日、苅谷さんご夫婦に香美市香北町梅久保にある0・6ヘクタールの畑へ案内してもらった。畑を毎日管理しているのはご主人の辰雄さん。「農薬は使いたくないのですが、石垣や田畑の土手周辺に生える強害雑草の中で特に厄介といわれるチガヤなど3種類の雑草に関しては除草剤を使う場合があるので、厳密に言えば無農薬ではないんです」。誠実に話をしてくれた。

収穫したイチジクの実

収穫したイチジクの実

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