2022.02.21 08:35
ひたむきに、海へ カツオ漁師 明神慶汰さん(20)高知市―ただ今修業中
「頑張ってるな、って褒められるとうれしい」という明神慶汰さん(黒潮町佐賀の佐賀漁港)
日の出とともに朝食を取り、漁場を探してカツオを釣る。“昼食”は午前9時で“夕食”は午後2時。カツオが活発になる日暮れまで釣ってから、夜間当直を務めながら交代で眠り、翌朝に備える。「こんな時間にご飯食べるの、って驚いた。初めての漁は2週間。長かった。しんどかった」。振り返って笑う。
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野球少年だった。小学校では生まれ育った幡多郡黒潮町佐賀のソフトボールチームに入り、中学校では少年野球チームに。高校でも体育コースに進学し、野球部に入部した。しかし「向き、不向きのある世界だなあ、と。2年の頃に、気持ちがプツンと切れちゃった」。
もう部活を辞めたい。高校にも通い続けたいと思えなくなっていた。クラス担任の教諭は「ちゃんとした理由がないと辞めさせてくれない人」で、高校に残るよう説得してくれたが、気持ちは変わらなかった。まず学校を辞めて、半年くらいアルバイトしてみよう―。そんなふうに考えていた時、両親が言った。「船に乗ったらえいがやない?」
船とは、同町佐賀の明神水産が所有する近海一本釣り船のこと。慶汰さんの父、学武(まなぶ)さん(47)は2004年から「第83佐賀明神丸」の漁労長を務め、同船はカツオ・マグロ類の年間漁獲高で幾度も日本一に輝いている。親戚にも同業者は多く、カツオ漁師への道に抵抗はなかった。
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