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2022.02.09 08:40

高知県内で休廃業・解散の企業237件、高水準続く 2021年 倒産はコロナ禍支援で過去最少

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 2021年に高知県内で休廃業・解散した企業は237件(20年比84件減)で、00年以降で5番目に多かったことが、東京商工リサーチ高知支店の調査で分かった。依然として高水準が続く一方で、倒産件数は新型コロナウイルス禍の資金繰り支援が行き届いて過去最少に。休廃業・解散は倒産の13・9倍に上り、水面下で多くの企業が事業停止している実態が浮かび上がった。

 業種別では、飲食や宿泊を含む「サービス業他」が最も多い70件(3件減)で、建設業46件(33件減)、小売業37件(9件減)、卸売業27件(7件減)、製造業20件(15件減)と続いた。

 同支店は「サービス業はもともと起業と撤退が多く、これに感染拡大の影響が加わった可能性がある。建設業は、後継者や技術者の人材不足に起因するケースが多い」とした。

 代表者の年齢は、70代が全体の38・9%を占めたほか、80代以上が26・6%、60代が23・0%と、60代以上が9割近くに。経営者が高齢化する一方、事業承継が進まず、休廃業を余儀なくされている状況がうかがえる。

 地域別では、高知市が130件(30件減)で過半数を占めた。

 同支店は「20年は先行き不透明なコロナ禍が休廃業を促す契機になったが、その後、持続化給付金やコロナ融資などの支援策が矢継ぎ早に実施され、21年の減少につながったとみられる」と説明。

 今後について、「休廃業の危機にさらされている企業の経営者年齢は高く、事業再構築の意欲を失っていることも想定される」と、件数の増加や高止まりを警戒している。

支援が奏功
 東京商工リサーチ高知支店がまとめた21年の県内倒産(負債1千万円以上)は17件(20年比14件減)、帝国データバンク高知支店の調査(負債1千万円以上、法的整理のみ)では16件(16件減)となり、いずれも過去最少となった。

 両支店とも「官民挙げての資金繰り支援が奏功した」とみている。負債総額は、商工リサーチの調査では73億3100万円、帝国データでは74億9100万円だった。

 商工リサーチの17件は、記録の残る1989年以降で最少だった90年の26件を下回る。コロナ禍に起因する倒産は9件。業種別は、サービス業他7件▽建設業3件▽製造業、小売業、運輸業が各2件―などで、原因は販売不振が11件を占めた。

 帝国データの16件も65年以降で最少の66年の19件を下回った。コロナ起因は8件。小売業5件▽建設業、製造業、運輸・通信業が各3件―などで、原因は販売不振15件などだった。

 先行きについて、商工リサーチは「一層の自助、公助が必要な企業が増えていることは間違いない。倒産が増勢に転じることへの警戒は必要だ」。帝国データは「コロナ融資の返済が本格化したものの業績が回復していない倒産予備軍が、水面下で増加している可能性は否定できない」としている。(井上智仁)

【ズーム】倒産と休廃業・解散 倒産とは、企業が資金不足や業績不振に陥り、債務を弁済できなくなったり、事業継続が困難になったりした状態のこと。破産、特別清算、会社更生法、民事再生法による法的整理と、倒産企業と債権者が任意で話し合う私的整理に分かれる。休廃業・解散は、企業が倒産以外で自主的に事業を停止すること。資産が負債を上回っている場合が一般的で、理由は後継者不足などが多い。

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