2022.02.06 08:40
心の苦しみに絵本で希望…大賞に埼玉の「ぷるすあるは」 やなせたかし文化賞

大賞に選ばれたNPO法人「ぷるすあるは」の絵本。優しい色彩、柔らかなタッチのイラストで読み手に寄り添う
公益財団法人「やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団」(明石猛理事長)が隔年で表彰。第1回は2019年に発表され、第2回の今回は新型コロナウイルスの影響で1年延期されていた。
今回の対象は、全国から推薦された67個人・団体。漫画家の里中満智子さんや田島真紀・高知こどもの図書館長、内川雅彦・本紙専門委員ら選定委員9人が最終選考し、各賞を決めた。
「ぷるすあるは」は精神科看護師の細尾ちあきさん、医師の北野陽子さんらが15年6月に設立。絵本やウェブサイトなどで、精神保健の普及啓発やヤングケアラーらのサポートに取り組んでいる。
頼れる大人がいない子どもに知恵や工夫を伝える「生きる冒険地図」、感覚過敏で大音量や人混みが苦手な子どもの気持ちや対応法を紹介する「発達凸凹なボクの世界」などの絵本を刊行。優しい色彩と柔らかなタッチのイラストで、親子に安心と希望を届けている。
選定委員は「子どもの味方であろうとする姿勢と温かさが伝わる」「こうした活動があることを多くの人に知ってほしい」などと高く評価。「ぷるすあるは」は「やなせさんの思いを引き継ぎ、必要だけどこれまでなかったコンテンツを作り届ける活動を続けていきたい」とコメントした。(小笠原舞香)
やなせたかし文化賞の受賞者は次の皆さん。
鈴木のりたけ(絵本作家、千葉県)▽西村繁男(同、神奈川県)▽長谷川義史(同、大阪府)▽ヨシタケシンスケ(同・イラストレーター、神奈川県)