2022.02.01 08:34
気分はエベレスト―森散歩 番外・伊予富士編(3)
左が伊予富士と思いきや右奥。てっぺんはガスで見えない
桑瀬峠から伊予富士まで、くねくねの尾根道を進む。周りは白いガスに包まれたまま、見通しが利かない。びゅううっと風が尾根筋を越えていく。雨が雪に変わり、ぱちぱちとジャケットを打つ。
先の見えない旅路は長く感じるもの。小さなピークの影が見えてくるたび、知人と「あれが伊予富士ちゃうか」。そう期待しては、肩を落とすを繰り返した。
やがて、緩い三角形の頂が見えてきた。富士山に似ていなくもない。2人で「あれだ」と口をそろえた瞬間。ガスの向こうに別の、巨大な山影が見えた。
てっぺんは雲の中。どれほどの高さなのか、想像だけが膨らむ。脳内では世界最高峰のエベレスト以上。
地図で確認すると、確かに、この山が伊予富士だった。あれに登るの? 登れるの? 2人でしばし顔を見合わせた。(森本敦士)