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2022.02.01 08:40

歩道脇にある〝秘湯〟桐間温泉(須崎市)持ち帰り無料、市民「泉質いい」―フォっトけないす

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歩道脇にある桐間温泉(写真はいずれも須崎市桐間南)

歩道脇にある桐間温泉(写真はいずれも須崎市桐間南)

 大型商業施設が立ち並ぶ須崎市桐間南の歩道脇に、ホース付きの蛇口を見つけた。周辺に水をやる花壇はない。はてと近づくと、看板には「温泉」の文字。ホースから絶え間なく流れ出るそれは、知る人ぞ知る〝秘湯〟だった。

 市企画政策課などによると2003年、土地区画整理事業の雨水管埋設工事中に硫黄臭のするわき水は見つかった。分析の結果、硫化水素などが温泉法の基準値以上含まれていることが判明。04年に「桐間温泉」として県審議会の認定を受け、市の財産となった。

排水溝には湯の花ような成分が見える

排水溝には湯の花ような成分が見える

 泉質は「含硫黄ナトリウム塩化物冷鉱泉」。排水溝には湯の花と思われる白い物質がゆらゆら漂っていた。こうした成分で管が詰まらないよう、市は電動ポンプで24時間くみ上げ続け、月1回程度点検を行っているという。泉温は約20度。冬場の今は手に取ると温かく、かすかに硫黄臭がする。

 温泉が出た当初、市や市民の間では観光振興などへの活用が期待された。07年にはスーパーのマルナカが温浴施設を含む大規模商業施設を計画していることも明らかになったが、11年のスーパー出店後も温浴施設は実現していない。

温泉をくむ井上達男さん

温泉をくむ井上達男さん

 それでもほそぼそと、市民は温泉を楽しんでいる。100リットルタンクに温泉をくみ取っていた井上達男さん(84)=土崎町=は「開設された頃からずっと。冬場は数日おきに通いゆう」。家では熱湯を加えて湯加減を調整しているそうだ。

 井上さんによると、桐間には一帯がまだ水田だった戦前から皮膚病に効くと評判のわき水があり、温浴の五右衛門風呂も設置されていた。しかし1946年の昭和南海地震ですべて流失し、わき水の場所も分からなくなっていたという。

 思わぬ形で復活した温泉。井上さんは「泉質がいいので、いつもほっかほかにぬくもる。健康の秘訣(ひけつ)かもしれんね」と笑顔で話していた。

 温泉の持ち帰りは無料で、6台の専用駐車場もある。(須崎支局・富尾和方)

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