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2022.01.30 08:00

【ウクライナ情勢】外交努力で侵攻の回避を

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 ロシアは隣国ウクライナに侵攻するのか。武力衝突への懸念が高まっている。
 北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指すウクライナの動きを警戒し、ロシアは国境付近に10万人規模の部隊を結集させ、NATOの不拡大を確約するよう求めた。
 米国などNATO側は「門戸を開け続ける」として拒否した。欧米とロシアの協議は続けられる見通しだが、軍事的緊張のレベルは「冷戦後最も危険」とされる。侵攻を回避するため、国際社会はあらゆる外交努力を尽くす必要がある。
 欧米諸国はウクライナへの支持を表明している。ロシアに対し、侵攻すれば極めて厳しい経済制裁を科すと警告してきた。
 バイデン米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談し、2月にロシアが侵攻する可能性は「十分ある」と伝えた。
 事態に備えて、NATOはウクライナ周辺国に加盟国の艦船や航空機などを派遣。米国も約8500人の兵力を向かわせる準備に入った。
 ロシアのプーチン大統領の対応が注目される。今回、米国はNATO不拡大の求めを拒否した一方で、核軍縮や軍事演習の制限などで協議に応じる考えも示した。対話に向けたボールをプーチン氏に投げた形だ。
 バイデン氏はロシアが侵攻すれば「第2次世界大戦以来、最も大きな侵略になり、世界を変えてしまう」と危機感をあらわにしている。
 米ロの主張の隔たりは大きいが、双方とも武力衝突は望んでいないだろう。対話で妥協点を探る努力を重ねるしかない。
 プーチン氏はウクライナを侵食しようとする行為を自制すべきだ。2014年に南部クリミア半島を一方的に編入。東部ドンバス地域は親ロシア派が実効支配し、ウクライナ政府軍との紛争が続いている。
 ロシアにとってウクライナは、ルーツとなるキエフ公国が発祥した特別な国という。プーチン氏は論文で両者は「一つの民族」と主張している。しかし、国際的に通用しない考えだ。ウクライナという独立国家の主権と領土を侵害する理由になるはずもない。
 フランスのマクロン大統領がプーチン氏と電話で会談するなど、各国も働き掛けを強めている。侵攻した場合の経済制裁も打ち出されている。ドイツではロシアから天然ガスを送る海底パイプラインが完成したばかりだが、その稼働に関して制裁を科す可能性に言及した。
 一方、ロシアが天然ガスの輸出を止める報復に出れば、エネルギー価格の高騰が懸念される。欧州連合(EU)などは代替輸入先の確保を急いでいる。日本が依存する中東の原油価格にも影響し、さらなる国内の燃料高騰にもつながりかねない。対岸の火事ではない。
 ロシアがいったん侵攻に踏み切れば、とめどもなく戦禍が広がる恐れがある。国際社会で侵攻を踏みとどまるよう、粘り強く働き掛けを強めたい。

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