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2022.01.28 08:34

空海ゆかりの巨岩!?発掘 高知県須崎市、伝承の土地から「二ツ石」 大善寺住職「感無量」

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家の跡地から発掘された二ツ石(写真はいずれも須崎市西町1丁目)

家の跡地から発掘された二ツ石(写真はいずれも須崎市西町1丁目)

 高知県須崎市の大善寺のふもとにある二ツ石大師堂の名前の由来になり、弘法大師空海がその上で往来の安全を祈ったと伝わる「二ツ石」と思われる巨岩が、このほど地中で見つかった。大師堂周辺は平安期には海に面した岩場だったが、その後は陸地になったため目に触れることはなく「幻の岩」とも言われていた。近隣住民らは「伝説の二ツ石を見られるとは思わなかった」と興奮している。

「石からエネルギーを感じる」と話す高橋成暢住職

「石からエネルギーを感じる」と話す高橋成暢住職

 市史や同寺の伝承によると、平安期には現在本堂がある山は須崎湾に突き出た岬で、周囲は断崖になっていた。目の前の海には「波の二ツ石」と呼ばれる巨岩があり、潮が引けば姿を現した。山越えをショートカットできる道として、干潮時に岩場を往来する人もいたという。

 しかし、波にさらわれる人が多く、「須崎の親知らず」と呼ばれる交通の難所。平安初期に空海が、岩の上に立ち水難防止や航海安全を祈願し、刻んだ仏像を安置したのが二ツ石大師堂の起源とされている。

大善寺本堂前からの眺め。左下の発掘現場から海岸線は約250メートル後退した

大善寺本堂前からの眺め。左下の発掘現場から海岸線は約250メートル後退した

 その後、二ツ石周辺は堆積した土砂で埋まり陸地が拡大。現在は海岸まで250メートルほどあり、住宅地が広がる。二ツ石の存在は口伝で地域に伝わり、おおよその場所は知られていたが住宅が建ち掘り出す機会はなく、いつしか伝説のように扱われていた。

 高橋成暢住職(62)は2017年、二ツ石の西側の一つが埋まっているという言い伝えのある大師堂前の土地を購入。家屋の解体を済ませた今月21日、業者に依頼してパワーショベルで地面を掘った。

 1・5メートルほど掘り進めると巨石が顔を見せた。すべて掘り起こすことは難しいが、現在露出している部分だけでも6・5メートル×3・5メートル×2・5メートルと巨大。全体は黒っぽく、一部は焦げ茶色で波に削られた跡があり、付着した貝殻も見つかった。

 高橋住職は、二ツ石の西側と〝断定〟。「ないという人もいたので、見つかった時は感無量。信じていた思いが報われた。誰もが祈れる癒やしの場にしたい」。近くの70代男性は「本当にあったのでびっくり。あの石の上で弘法大師が祈ったと思うと感慨深い」と思いをはせていた。

 東側の二ツ石は西側から約15メートル離れた場所にあるとの言い伝えがあるが、住宅があり発掘の予定はない。(富尾和方)

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