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2022.01.27 08:38

題材は?画材は?…絵金派屏風を想定復元 高知大研究者らが6年かけ 高知県香南市で5月まで展示

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野角孝一さん=右=ら研究グループによって復元された芝居絵屏風「伽羅先代萩 御殿」(香南市野市町大谷の創造広場「アクトランド」)

野角孝一さん=右=ら研究グループによって復元された芝居絵屏風「伽羅先代萩 御殿」(香南市野市町大谷の創造広場「アクトランド」)

 幕末の絵師、金蔵(絵金)の流れをくむ「絵金派」の芝居絵屏風(びょうぶ)の復元作品がこのほど、香南市野市町の創造広場「アクトランド」内の絵金派アートギャラリーにお目見えした。絵の7割は欠損していたが、高知大学の研究者らが題材や画材を分析し、屏風確認から約6年がかりでよみがえらせた。本物の屏風とともに、5月29日まで展示される。

 屏風は同市香我美町の峯八王子宮の拝殿に保管されていたもので、制作時期や作者は不明。絵金の作品を調査する高知大教育学部の日本画専攻講師、野角孝一さん(40)らの研究グループが2015年、氏子の情報を受けて初確認した。

欠損した絵屏風=上=を見ながら、復元画を描く野角孝一さん(本人提供)

欠損した絵屏風=上=を見ながら、復元画を描く野角孝一さん(本人提供)

 損傷は激しかったが、描かれた人物や筆の運び、色彩などから絵金派の作品と推定。美術館学芸員らの分析で伊達騒動を脚色した芝居絵「伽羅(めいぼく)先代萩 御殿」と分かり、氏子への聞き取りも行うなどして欠損部分を推測したという。

 復元作業は16年に着手。他の絵屏風や過去の写真を参考に野角さんが描いた。専門機関で画材を分析し、竹紙や絵の具も忠実に再現した。野角さんらによると、絵金派屏風の想定復元はこれが初事例で、修理以外に文化を継承していく選択肢にと考えたという。

 完成作品は21日、報道陣に公開。乳母が自分の子を犠牲に幼君を守る場面で、苦悶(くもん)の表情や鮮やかな「血赤」が目を引く。

 野角さんは「生きた目の表情にこだわった。絵金派の作品を継承する機会になればうれしい」。アクトランドの横田恵学芸員は「管理者が高齢化し、失われつつある芝居絵屏風の活用の可能性を伝えたい」と話している。(小笠原舞香)

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