2022.01.26 08:39
「連年はきつい」...龍馬マラソン中止にランナーら、ショック悔しさあらわ
1万1816人が出場した2年前の高知龍馬マラソン。2年続けて、市民ランナーが健脚を競う場がなくなった(2020年2月、高知市の県庁前)
大会常連の元中学校教諭、宮部修充さん(65)=四万十市=は「教え子に元気な姿を見せようと年に一度だけ頑張っている。あと何年やれるかと思うと、連年の中止はきつい」と残念がった。
女子で2連覇中の森本紗和さん(24)=高知市=は、2020年大会で優勝した後に「ヤマダ電機」の実業団チームを卒業、同社勤務の市民ランナーとして初めてのフルマラソンが延び延びになっている。「(山田)高校や実業団の時と違って、大会がないと目標が立てづらいと感じる」と、しょんぼりと話した。
同じくコロナで中止になった全国都道府県対抗男子駅伝の県代表選手、久松大海さん(26)は「職場や地元の土佐清水市の方が、応援してくれていた都道府県駅伝が中止になった。龍馬マラソンで先頭争いをして、元気な姿を見てもらいたいと思っていたのに…」と悔しそうだった。
14年大会を制した県内市民ランナーの第一人者、山崎竹丸さん(33)=高知市=は、「昨年から国内外のいろいろなレースが復活してきているのに、また、もとに戻ってしまった感じ」とやりきれない表情だった。
14年大会から連続で走ってきた谷雅子さん(58)=高知市=は、感染者の急増に「自分が走ることで職場の人を不安にさせるのは違うんじゃないか…という考えになってきて。みんなが楽しめる状況で開催できる日が来るまで、諦めず練習します」と前を向いた。
大会アドバイザーの金哲彦さん(57)は参加予定だったランナーに「コロナと闘う状況が一生続くわけではない。次の大会までに、フルマラソンを走れるようコツコツやりましょう」とメッセージを送った。
観光業界も悲鳴
今回は感染対策のため定員を1万人から6500人に縮小。それでも県外からのエントリーが半数を超え、観光閑散期の大きな入り込み客と期待されていただけに、観光業界には落胆が広がった。
「ザ クラウンパレス新阪急高知」(高知市)はスタート地点近くということもあり例年、大会前日はランナーの宿泊客で満室に。今年もそうだったが、中止決定でキャンセル増加は必至だという。
同ホテルでは「第6波」が広がり始めた1月中旬以降、他の宿泊予約も止まったり、キャンセルが出たりしている。宿泊担当者は「他県の大会の中止情報も入っており、龍馬マラソンも難しいだろうと思っていた。非常に残念だが、仕方がない」と肩を落とした。
とさでん交通は、選手らの輸送のために準備していた貸し切りバス48台がキャンセルになった。担当者は「昨秋から学校の遠足や修学旅行の需要が回復していたが、第6波で予約取り消しが増え続けている。龍馬マラソンも覚悟はしていたが…」と残念がった。(高知新聞取材班)