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2022.01.17 08:00

【通常国会召集】存在意義を示せるか

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 通常国会がきょう召集される。
 年明け以降、新型コロナウイルス感染が急速に拡大し、新変異株「オミクロン株」に置き換わってきた。対策の充実が迫られている。
 コロナとどう向き合い、経済社会活動を本格化させるのか。施策への協力や効果につなげるには政治への信頼が欠かせない。真剣な論戦を通して国会の存在意義を示したい。
 全国の新規感染者は、一気に流行「第5波」が猛威を振るった昨年夏の水準に達している。岸田文雄首相は最悪の事態を想定すると訴え、先手の対応で臨む姿勢を見せる。
 拡大防止の軸足は水際対策から国内対策に切り替えた。陽性者全員の入院を見直し、濃厚接触者の待機期間の短縮も打ち出した。
 オミクロン株は感染力が強い一方、重症化しにくいとされる。重点を自宅療養者への対応に置き、保健所の負担を和らげるため健康観察は医療機関に協力を求める。
 医療逼迫(ひっぱく)は避けなければならない。柔軟な対応が求められていることは間違いない。
 だが、それに伴うマイナス面への配慮もまた欠かせない。自宅療養者が想定以上に増加した場合、健康観察や入院調整を確実に行えるかなど、確認すべきことは多い。
 進んでいないワクチン3回目接種も前倒しで対応する。それにはワクチン供給が鍵を握る。滞れば混乱が繰り返されてしまう。
 こうしたことに国会の細やかなチェックが欠かせず、それを通して対策に厚みが増していく。ところが、病床確保強化に向け検討していた感染症法改正案は提出が見送られる。夏の参院選を控え、コロナ対策が国会論戦で争点化するのを避けたいようだ。これでは説明にならない。
 2022年度の予算案は、一般会計の歳出が過去最大の107兆円台となった。コロナ対策の予備費は5兆円と巨額だ。使途の透明性を確保するには国会の関与が不可欠だ。
 防衛費も過去最大となる。安全保障環境の変化に対応する防衛力整備が求められる。だが、無秩序な肥大化は認められない。首相は敵基地攻撃能力の保有を含むあらゆる選択肢を検討する考えを示した。重要な論点だ。決定的な対立の回避への外交姿勢が同時に問われている。
 財政の健全度を示す国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は26年度に黒字化するとの見通しを内閣府は示した。ただ、試算の前提とする経済の高成長が実現できるかは不透明だ。それだけに、施策の絞り込みができているか、厳格な確認が求められる。
 中間層復活を目指すとして首相が主唱する「新しい資本主義」の具体像を明確にすることも重要だ。「こども家庭庁」設置法案や経済安全保障推進法案なども審議される。
 日本学術会議の会員候補の任命拒否や森友学園を巡る財務省決裁文書改ざん、「政治とカネ」問題もくすぶっている。国会軽視が目立った安倍・菅政権時代とどう変わるのか、「言論の府」の力が試される。

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