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2022.01.13 08:40

高知県に武力攻撃、全県民脱出せよー 国と県など1/14訓練 「現実味欠く」疑問の声も

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 高知県が他国から武力攻撃される恐れが生じたため、全県民を1カ月かけて県外に避難させる―。国と県などは、こんな状況を想定した図上・実動訓練を14日に行う。国、県とも「あくまで広域避難が目的」とするが、リアリティーを欠く設定を疑問視する声もある。

 大規模テロや武力攻撃を受けた際の国や自治体の対応を定めた国民保護法に基づく訓練。同様の避難訓練はこれまでに本県で3回行われているが、いずれもテロを想定したものだった。

 内閣府や県危機管理部によると、東京五輪があった昨年まではテロ対応を中心に訓練してきたが、武力攻撃を想定した内容も追加。今年は中国・四国ブロックで行うことになり、「たまたま高知が(避難対象県になる)順番だった」という。

 訓練の想定は、「某国から日本への武力攻撃の可能性の示唆」があり、検討の結果、「2カ月後に高知県が攻撃目標となり得る」と判断された。国は国民保護法の「武力攻撃予測事態」に認定し、全県民を山口、愛媛両県に飛行機と船、バスで1カ月かけて避難させる―との内容。

 14日は関連省庁や自衛隊、海上保安庁、高知、山口、愛媛の3県、高知市と南国市など33機関・計240人が参加。高知港、高知龍馬空港を使った移送の手順を確認する図上シミュレーションを行う。さらに、高知市と南国市のスポーツ施設から、住民役のエキストラをバスで港、空港に運ぶ実動訓練も実施する。

 武力攻撃の想定について、内閣府は「広域避難という訓練の目的からシチュエーションを考えており、蓋然(がいぜん)性は考慮していない。愛媛、山口を避難先としたのも、南海トラフ地震に備えて高知県と連携していることを踏まえた」と説明。県危機管理部は「地震時の備えにもつながる」とするが、県庁内には「現実味を欠く」と戸惑う声もある。

 こうした中、共産党県議団は12日、今回の訓練について「著しく蓋然性が低い事態をあえて想定し、いたずらに県民の不安や周辺諸国の不信感をあおっている。全県民の県外避難は到底不可能で、実効性も伴っていない」などとして、井上浩之副知事に訓練の中止を要請した。(大山泰志)

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