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2021.12.25 08:37

2021 高知 年末回顧(4=終)「竜とそばかすの姫」“聖地”に人波 

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「竜とそばかすの姫」のヒットで多くの観光客が“聖地”を訪れ、キャンペーンやタイアップ商品も数々展開された(コラージュ・竹内宏樹)

「竜とそばかすの姫」のヒットで多くの観光客が“聖地”を訪れ、キャンペーンやタイアップ商品も数々展開された(コラージュ・竹内宏樹)

 高知が舞台のモデルとなったアニメ映画「竜とそばかすの姫」(TOHOシネマズ高知で上映中)は7月の公開以来、興行収入65億3千万円(12日時点)の大ヒットを記録。随所に登場する仁淀川流域などのロケ地には、県内外から“聖地巡礼”の来訪が相次ぎ、新型コロナウイルス下での明るい話題となった。

 アニメ界のビッグネーム、細田守監督の最新作は、高知の田舎で暮らす女子高生・すずが主人公。インターネット上の仮想世界の表現が話題となる一方、現実世界の描写には、高知の豊かな自然がふんだんに盛り込まれた。

 仁淀川流域や鏡川の美しい情景のほか、JR伊野駅や能津小学校(高岡郡日高村)など、見慣れた風景がスクリーンに登場。公開初日に鑑賞した県民から「地元の光景そのまんま」「土佐弁は出てこんけど、映像はリアル」と好評を博した。

 細田監督によると、フランスで開かれたカンヌ国際映画祭でのお披露目でも絶賛されたそうで、高知の景色を「みんな『なんて美しいんだ』って言ってましたよ」。

 ◇ 

 県内自治体や観光団体が期待したのは、映画のファンが物語の舞台となった場所を巡る“聖地巡礼”効果だ。

 県はその経済効果を44億5千万円と推計。映画と連動して誘客を目指す観光プロモーションを東京や大阪などで実施した。

 地元も受け入れ企画を次々と展開。パネル巡回展や半券キャンペーンなどの盛り上げ企画を次々と打ち、小夏ドリンクやTシャツなどのタイアップ商品は16品に上った。

 公開前から話題となっていた浅尾沈下橋がある高岡郡越知町は、宮の前公園―沈下橋間を往復する無料のラッピングバスを9月末まで運行。4カ月半で少なくとも1万3千人超の“巡礼者”が訪れたという。

 沈下橋そばの鎌井田簡易郵便局は、併設する商店でアイスやポストカードなどを販売。佐野友子局長は「『感動しました』『また来ます』と声を掛けてもらえた。細田監督から素晴らしいプレゼントをもらいました」と喜んだ。

 越知町が現地で行ったアンケート(約1750人回答)によると、約6割が関西や関東などの県外客で、同町を初めて訪れた人は57・6%。仁淀ブルー観光協議会の担当者は「夏に新型コロナの感染が拡大した時期と公開が重なったが、仁淀川エリアの観光客の減少幅はほかと比べて小さかった。県外客に『仁淀ブルー』が認知されたと同時に、改めて地元を巡ってみた人も多かった」と振り返る。

 ◇ 

 ヒット作の“聖地”としての知名度アップは高知観光の財産となった。今後は巡礼効果の継続が課題となるが、映画を巡る話題は今も事欠かない。

 12月には「アニメツーリズム協会」の2022年版「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に越知町が認定された。作品はアニメ界のアカデミー賞とされる「アニー賞」にもノミネートされ、今後はフランスや米国での一般公開も控えている。

 同町企画課の大原範朗課長は「来年には映画DVDの発売や地上波での放送もあると思う。このチャンスを生かして県外客を取り込みたい」と意気込む。

 県観光政策課の担当者も、今後のインバウンド(訪日外国人客)復活を見据え、「一過性のブームで終わらせないためにも、ロケツーリズムのPRを後押ししたい」と強調。“おらんく映画”をてこに誘客を図る取り組みは来年も続く。(大野泰士、楠瀬健太)

 =おわり

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