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2021.12.21 08:40

「支えられたから支えられる」高知いのちの電話 相談員に応募して…

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電話相手の悩みを真剣に受け止める相談員(高知市)

電話相手の悩みを真剣に受け止める相談員(高知市)

 生きるのがつらい。死にたい―。そんな人たちの声を、認定NPO法人「高知いのちの電話協会」(高知市)が受け止めている。近年は相談員不在で応じられない時間が増える中、自身の苦しみと向き合いつつ、受話器の向こうの心に寄り添うボランティアの相談員がいる。

 「誰かを支えられるのは、支えられているから」。4月から相談員を始めた女性(65)が話す。2年前、夫を亡くして失意に沈んでいたころ、相談員募集の話を聞いた。

 100キロマラソンに挑戦するほど丈夫だった夫に突然、末期がんが見つかった。入退院を繰り返し、病院からの帰り道に崖下を見て「飛び降りたい」とつぶやかれたこともあった。

 1年間看病してみとり、身心とも疲れ果てていた。「お帰り」が聞けない家に帰るのが嫌で、仕事終わりには毎日のように、近所のスーパーのベンチに閉店までぼーっと座っていた。「さびしくて、孤独だった」

 相談員に申し込んだ当初、「こんな自分が孤独に苦しむ人の声を聞いてあげられるか不安だった」。だが、研修を受けるうち、自分も冷静に見つめられるようになった。

 相談員は身分を公言できない。自分の経験も語れない。でも、仕事に追い詰められた人や、恋人を亡くし「死にたい」という人の声に耳を傾けていると、「そうだよね」と心が通じることがある。

 「自分も、寄り添ってもらえていると感じる」。支えることで、支えられることに気づいた。

 「悲しい人、苦しい人、みんな孤独なんだと思う。『私でよかったら、苦しい気持ちを聞かせて』という思いで続けている」

 今日も電話が鳴る。ゴクンとつばを飲み込み、緊張して受話器を取る。「やっとの思いでかけてくれたのかもしれない。声だけの相手。でも、少しでも聞いてあげたい」

 いのちの電話(088・824・6300)は毎日午前9時~午後9時。毎月10日は全国対応で24時間、フリーダイヤル(0120・783・556)で対応する。28日まで高知市のオーテピアで企画展も行われている。(浜田悠伽)

■22年4月から養成講座
 高知いのちの電話協会は、来年4月からの相談員養成講座の受講者を募集している。

 現在、実質活動中の相談員は30~70代の73人。20年度は8491件の相談に耳を傾けたが、途切れのない対応には100人ほど必要。対応できない時間が計690時間あり、「20回かけてやっとつながった」と言われたこともあるという。

 講座は2023年3月まで、原則土曜日の午後2時~4時半。精神科医や作業療法士からカウンセリング技法などを学ぶ。対象は20歳以上で、受講料2万5千円。来年2月15日締め切り。問い合わせは協会事務局(088・824・5002=平日の午前9時~午後5時)へ。

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