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2021.12.19 08:45

電車バス日祝「無料デー」好調16万人利用 高知県内、開始1カ月「ファン獲得のきっかけに」

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無料デーで人気の桂浜。バスが着くたびに次々と乗客が降りてきた(高知市浦戸)

無料デーで人気の桂浜。バスが着くたびに次々と乗客が降りてきた(高知市浦戸)


 日曜祝日に、高知市を通る路面電車や路線バスが無料になる「無料デー」が好調だ。開始から1カ月間(11月3~28日の6日間)の乗客数は前年比2・8倍の約16万人。高知市の桂浜や安芸市へ向かうバスは増便する人気ぶりで、交通事業者は「これをきっかけに一人でも多くファンを獲得し、今後の利用につなげたい」と、単発企画にとどまらない効果も期待する。日曜日、少し出掛けてみませんか?

 無料の対象は、とさでん交通の路面電車と路線バスの全線(山田駅―龍河洞線を除く)▽県交北部交通の全線▽高知東部交通の安芸―高知線▽市内の予約型乗り合いタクシー。対象路線なら高知市内に限らず、どこで乗り降りしても無料となる。市が新型コロナウイルス対策の交付金を活用して、運賃を肩代わりする方式で実施。約1億5千万円を構えている。

 好天の日曜日、桂浜のバス停に着いた大型バス(定員約70人)から乗客が次々と降りてきた。席は満員で、立ちっぱなしの人も。同市北部から家族4人でバスを乗り継いで来た女性(39)は「年1回、水族館に来ている。いつもは車だが、無料だからバスに乗った。子どもが楽しそうでよかった」と表情を崩した。

 運行するとさでん交通によると、月前半の無料デーは乗車希望者が全員乗れない時間帯があり、2号車を出して対応。その後は大型バスに切り替えた。男性運転手も「前はがらがらで寂しく、走る意義を考えることもあった。やりがいを感じる」と声が弾む。

 東部交通の安芸―高知線も盛況だ。11月の1日当たりの乗客は、前年の83人から607人と7倍超に。無料デーのたびに2号車を出す時間帯もあり、ベテラン運転手は「昔のにぎわいを思い出した」。

 高知市によると、11月の休日の電車、バスの乗客は前年は1日9千人ほどだったが、今年は初日の3日が2万3700人。21日には3万人を超えた。11月の6日間では約16万5千人が利用し、カウント用の整理券を取り忘れた人を含めると、乗客の実数はさらに多いとみられる。

 無料運賃が人の「お出掛け」意欲を喚起し、観光施設などのにぎわいにつながっている側面も。高知市南部の40代男性は「無料だから遠出してみよう」と路面電車で吾川郡いの町に出て、北部交通バスで同郡仁淀川町へ。そこからは民間バス(有料)で中津渓谷を堪能した。桂浜を訪れた高知市の男性(77)は「何十年かぶり。こんな機会(無料)でもないと来ようと思わなかった」。

 高知市の担当課は「天候にも恵まれ、上々の滑り出し。初めてや、久しぶりに乗った人が『思いの外、使える』と言っていたという声も聞いており、今後の需要につなげていきたい」としている。

 無料デーは、来年1月末(年末年始を含む)まで行われる。(村上和陽)

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