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2021.12.02 08:00

【辺野古軟弱地盤】国の「隠蔽」に不信が募る

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 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先を巡り、「辺野古(名護市)ありき」で突き進む政府の理不尽な姿勢を示すものだ。
 辺野古沿岸部の埋め立てが始まる3年前の2015年の段階で、地質調査した業者から軟弱地盤があると防衛省沖縄防衛局が報告を受けていたことが分かった。
 長期の地盤沈下が懸念されることから、滑走路などがある基地建設にとっては重大な問題である。にもかかわらず、政府はこうした経緯を公表していなかった。
 「隠蔽(いんぺい)」と言われかねない行為であり、基地新設の正当性への疑問はさらに深まった。
 業者の調査によると、軟弱層は海面下70メートルに及ぶ。専門家は「地盤がマヨネーズ並みの可能性」があるとしており、今も施工上の大きな不安材料となっている。
 国は当初、「長期間にわたって沈下する軟弱層は確認されていない」としていた。一転、軟弱地盤の存在を認め大規模な地盤改良が必要と表明したのは19年になってから。既に土砂投入を始めていた。
 14年に移設推進派の現職知事を破って初当選した当時の翁長雄志知事(故人)は、移設阻止へ国と全面対決していた。国は「不都合な報告」を隠し、埋め立てという既成事実を積み上げて押し切ろうとしたのか。県民に対し不誠実な態度で、到底許されるものではない。
 辺野古移設の総工費も膨張の一途だ。地盤改良のため当初の約2・7倍の9300億円に増加。工期も設計変更を県が承認してから約12年が見込まれている。
 それでも完成が保証されるわけではない。埋め立て中や工事終了後に地盤が崩れる可能性も指摘されている。そうした工事に莫大(ばくだい)な税金をつぎ込むことに、国民の理解は得られるのか。
 お金の問題だけではない。
 来年は沖縄の本土復帰50年。しかし今も日本の国土面積の約0・6%でしかない県内に、在日米軍専用施設の約7割が集中している。過重な基地負担は変わっていない。
 その上、基地新設に際し、軟弱地盤の存在を隠して着工する。これでは沖縄県民に対する構造的な差別の表れ、と言われても仕方ないのではないか。
 玉城デニー知事は地盤改良に伴い沖縄防衛局が申請した設計変更を不承認とした。政府は速やかに対抗措置を取るとみられ、法廷闘争に発展する可能性が高い。
 しかし、そうなると沖縄県との対立は激化するばかりだ。
 軟弱地盤の改良は本当に可能なのか。辺野古周辺海域にも姿を見せていた絶滅危惧種ジュゴンに与える影響はどうなのか。国は一度立ち止まって、県と科学的な検証、検討を行うべきである。
 岸田政権は「信頼と共感」の政治を強調している。辺野古移設一辺倒をやめて沖縄県との地道な対話を積み重ねなければ、それも看板倒れとなる。

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