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2021.12.01 08:00

【立民新代表】挙党態勢へ問われる手腕

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 政権の受け皿として国民が信頼を寄せる政党へどう脱皮し、与野党の緊張感ある国会を取り戻すか。立憲民主党の新たな党代表に選出された泉健太氏の手腕とかじ取りが問われる。
 衆院選の敗北を受けて引責辞任した枝野幸男前代表の後任を選ぶ同党の代表選は、泉氏と逢坂誠二氏、小川淳也氏、西村智奈美氏の混戦になった。各候補とも1回目の投票で過半数を獲得できず、逢坂氏との決選投票を泉氏が制した。
 昨年9月に旧国民民主党と合流した際の代表選は、国会議員のみの投票で、地方議員や党員らも参加した代表選は結党後初めてだった。同時に、旧立民の旗揚げから党を主導してきた枝野氏の路線からの転換も問われた。
 論戦では、枝野氏が主導した共産党を含む野党共闘の在り方が大きな焦点になった。
 衆院選では多くの小選挙区で野党候補の一本化が実現し、与党系候補との激しい接戦に持ち込む効果が見られた。一方、立民は比例代表で議席を大きく減らし、公示前の110議席から96議席に後退した。
 敗因の一つは、候補者一本化の前提として共産と結んだ合意があるとされる。政権交代を実現した場合の「限定的な閣外からの協力」だ。
 「限定的」とは、どの範囲を指すのか。衆院選では枝野氏らの説明不足もあり、与党による「立憲共産党」との批判が有権者に一定響いたとみられる。
 代表選の候補4氏とも、共産との野党共闘に間違いはなかったとして連携を続けるとした。今後も共産との合意を維持するのであれば、早期に具体的な協力の形を国民に明示すべきだろう。
 一方、党最大の支持組織である連合は、共産との連携は失敗だったとして見直しを求める姿勢を強めている。来夏に参院選を控えて、いわば「股裂き」の状態にある。泉氏の対応は容易ではあるまい。
 岸田政権にどう対峙(たいじ)するのかも代表選の論点になった。
 立民に対する「国会対応で批判ばかりしている」との見方は根強い。泉氏は保守、中道を意識して対決型を見直し、「政策立案型政党への転換」を掲げている。
 政権批判は野党の責務だとしても、国民の信頼を得るためには、党として目指す社会像や実現可能な政策を今度こそ早急に示し、広く浸透させる作業が欠かせまい。
 ただ、立民内には憲法や安全保障を巡る温度差もある。
 代表選で泉氏は、改憲の是非を問う国民投票時のCM規制について「衆参の憲法審査会で必要な議論を先行すべきだ」と明言。他の3氏は自民党主導の改憲に巻き込まれると憲法審に警戒感を示した。
 泉氏の路線に対する反発も予想される。いかに挙党態勢を築いていくかが当面の課題になろう。
 新執行部は近く召集される臨時国会に臨む。国民の信頼感を高める党運営が求められる。

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