2021.11.23 08:21
高知、ピンチで粘る力を...右腕山下踏ん張りきれず 明治神宮野球大会
【準々決勝 高知―花巻東】1回裏高知1死三塁、高橋が中前に適時打を放ち1―1と追いつく。投手工藤、捕手田代(神宮球場)
<明治神宮野球大会 第3日>22日 高知 2―6 花巻東
四球で走者を背負う。失策でピンチを広げる。四国大会ではそこから三振を奪い、併殺を完成させ、勝ち上がってきた高知。だが、この日は違った。相手に傾きかけた流れを粘りのピッチングで何度も立て直してきた右腕山下が、踏ん張り切れなかった。
1―1の三回。先頭工藤を変化球で3球三振に仕留めるまでは良かったが、次の熊谷にストライクが入らず四球。続く宮沢は初回の1打席目が失点につながる四球だったため、「ここは与えたくない」(山下)。
しかし、直球が高めに浮き、変化球頼み。カウントを取ろうとすれば甘くなる。宮沢、渡辺、佐々木の3連打と田代の犠飛で3失点。山下は「腕も振れていなかった」と悔しさを隠せなかった。
佐々木に打たれたのは外角低めに外した球。大会前、浜口監督は規格外の強打者対策として「佐々木君の前に走者を出さない」と話していたが、前の2人に打たれてしまった。さらに、川竹に代わった五回には内野の2失策にボークも出て無安打で痛い1失点。粘りが足りなかったのは、チーム全体の課題だろう。
新チーム始動後、投手陣に柱がいない危機を、野手兼務の山下が何度も救ってきた。その太い支柱が揺らいだ時、どうチームを立て直すのか。センバツ甲子園で勝つためには不可欠な力だ。
一方、佐々木を五回以降の3打席、無安打に抑えられたのは自信にもなった。「山下は全国でも十分通じる」と浜口監督。川竹についても「下半身の強化と、カウントの取れる変化球が必要」と改善点は明確だ。あの三回を踏ん張れば結果は違っていたかもしれない。チームはもっと強くなれる。成長の冬が始まる。(平野愛弓)