2021.11.23 08:36
森散歩 べふ峡編(中)ぜいたくな時間
岩に腰掛け、葉のグラデーションを楽しむ(香美市物部町)
道幅50センチほど、左は急斜面。落ちたら大ごとと、足元を一歩一歩確かめながら進んだ。薄暗い杉林の中で、車酔いの同僚は心なしか、また顔色が青くなってきたような…。
やがて、ザー。水音が聞こえてきた。ここらで変化がほしいと、沢に向かってみた。
木の幹にかきつき、急斜面のガレ場を慎重に慎重に進む。視界が開け、あふれる光に、ほっとする。
沢は、小さいながらも水量豊富。大きく枝を伸ばした広葉樹の葉が、緑からオレンジに色づきつつあった。
もっと葉っぱに近づきたくて、大きな岩によじ登った。陽光を受けて輝く、青空の下のグラデーションに、思わず「はあー」。同僚の顔色もいい。
ちょうどお昼時。お湯を沸かしてラーメンを食べ、おにぎりを食べ、お菓子を食べ…。ぜいたくなひととき。リュックサックが軽くなった。
写真・森本敦士
文・深田恵衣