2021.11.18 08:38
日本一の高校生バンド!高知県の土佐塾「リップディサナー」、窪川「アカネサス」相次ぎ全国大会の頂点に

全国高校生アマチュアバンド選手権で演奏する土佐塾高の「リップディサナー」
県勢の快挙に関係者らが沸く中、両バンドは「もっと大きな存在になって、もっと大きなステージに立ちたい」「妥協せず、音楽を作り続けたい」。さらなる高みを目指している。
「心を動かす音楽を」土佐塾・リップディサナー
土佐塾高校の「リップディサナー」は全員が1年生、16歳。中学1年時に組んだギターボーカルの下田睦典(ときのり)さん、ギターの井関雄人さん、ドラムの矢野川優斗さんと、6月に加わったベースの上田楓(ふう)さんの4人組だ。

受賞を喜ぶリップディサナーの4人。左から井関雄人さん、矢野川優斗さん、下田睦典さん、上田楓さん(高知市の土佐塾高校)
全国高校生アマチュアバンド選手権(茨城県・ひたちなか青年会議所主催)は2004年に始まり、国内最高位の大会と位置付けられている。優勝者には国内最大級の野外ロックフェスティバル「ロック イン ジャパン」の舞台に立つチャンスが与えられている。
リップディサナーは全国から応募した62組の中から、最終ステージに立つ10組に選ばれた。
ライバルが見守るステージ上で、「エンドロール」などオリジナルの2曲を披露。エンドロールはコロナ禍でライブや部活がなくなった時の思いをつづった曲で、「気持ちのひとつ 命のひとつ 繰り返し明日を繋いでいく」「今を生きることはいつか 終わりがあることなんだ」と歌った。
ひねりのある歌詞に、エッジを利かせた音を奏でてみせた。
審査員は「演奏は全国トップレベル。日頃の努力がしっかりと成果となって出ていた」。ベストギター賞、ベストドラム賞もそれぞれ受賞した。
コロナ禍に阻まれ、ロックフェスのステージに立つことはできなかったが、「喜びに達成感、何より今後の活動への自信につながった」とリーダーの井関さん。11月の「MUSIC DAYS」でも準優勝を果たし、全国に力を見せつけた。
将来が期待される4人。「ステージを踏むごとにアップデートしていきたい」と声をそろえ、「これからも、たくさんの人の心を動かす音楽を届けたい」と話した。(玉置萌恵)
「プロを目指し進む」窪川・アカネサス
窪川高校の「アカネサス」は全員3年生。ボーカル兼ギターの下元愛さん(18)、ベースの山本梨代菜さん(17)、ドラムの山脇百華さん(17)のスリーピースバンドだ。

グランプリを喜ぶアカネサスの3人。左から山本梨代菜さん、山脇百華さん、下元愛さん(四万十町琴平町)
オリジナル曲は4曲、演奏できる曲も全部で10曲程度だが、下元さんのスケールの大きな歌声と、等身大の思いを表現した歌詞などが人気。オリジナル曲を収めた自主制作CDは県内外で販売され、初回600枚を完売。今年8月には県代表として全国高校総合文化祭(和歌山県)にも出場していた。
11月に横浜市で開かれた「MUSIC DAYS」(実行委員会主催)には全国76組が応募。地区予選や動画審査を経た決勝のステージに17組が立った。
披露したのは、「学校生活で感じた不満」を描いたという曲「リアル」。力強いサウンドに乗せ、「持つものなくても 最初から手ぶらで生きてきた私達は 怖くない 何も怖くない」と歌った。
結果は見事なグランプリ。審査員の音楽関係者らは「演奏がプロ並み。基礎がしっかりしている」と評した。
メンバーは「他にもっとうまいバンドはあった。実感がない」とはにかむが、すでに将来性を見込んだ複数のレコード会社からオファーも届いている。
「プロを目指して、オリジナル曲を増やしたい」と意気込む3人。一歩ずつ前に進む。(窪川支局・小林司)