2021.10.27 08:00
小社会 柿のある風景
きのうは、正岡子規が有名な俳句〈柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺〉を詠んだ日に由来する「柿の日」だった。柿ほど秋の深まりを感じ、日本の原風景に溶け込んだ果樹はないだろう。
昔は小説にもよく登場した。「フミエと洋一の家には、裏に大きな柿の木が一本あります。それは子どもの一かかえもあるほどりっぱな木でした」。そんな書き出しで展開されるのは、「二十四の瞳」で知られる壺井栄の童話作品「柿の木のある家」。
3世代家族の暮らしと心情をつづった。季節の移ろいや祖父の死、新しい家族の誕生なども、柿の木の様子とともに描いている。昔ならどこにでもありそうな話がこの作品の魅力だ。大人なら、懐かしさがこみ上げる人もいるだろう。
今では柿の木がある家は少なくなった。果樹としての作付面積も減少傾向という。果物などを研究する今井敬潤(きょうじゅん)さんは、日本人の心象の中で柿の存在はまだ大きいが、日常生活では以前より食される機会も減り、「遠い存在になりつつある」と指摘する(著書「柿」)。
壺井栄は一家の物語を「柿の木は、こういう風景を、にこにこ笑いながら見おろしているようです」と締めくくっていく。俳句や童話の描写がいつまでも通じる柿の木のある日本であってほしい。
10月27日のこよみ。
旧暦の9月22日に当たります。つちのえ さる 四緑 赤口。
日の出は6時20分、日の入りは17時19分。
月の出は21時57分、月の入りは12時04分、月齢は20.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で3時12分、潮位48センチと、15時09分、潮位118センチです。
満潮は10時12分、潮位150センチと、20時27分、潮位152センチです。
10月28日のこよみ。
旧暦の9月23日に当たります。つちのと とり 三碧 先勝。
日の出は6時21分、日の入りは17時18分。
月の出は22時54分、月の入りは12時50分、月齢は21.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で4時05分、潮位58センチと、16時22分、潮位126センチです。
満潮は11時33分、潮位143センチと、21時09分、潮位140センチです。