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2021.10.18 08:35

ただ今修業中 高知FD球団職員 浅利章太さん(35)高知市

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FD事務所で作業する浅利章太さん。「他の球団ではできない経験ができている」という(高知市大谷公園町)

FD事務所で作業する浅利章太さん。「他の球団ではできない経験ができている」という(高知市大谷公園町)

スポーツの力引き出す
 昨年春、高知ファイティングドッグス(FD)球団の職員になった。ただ普段の仕事は、子どもを対象にしたさまざまなスポーツ教室の企画や、運動を軸にした国際交流の模索など、野球とはほとんど関係ない業務だ。さぞ困惑しているかと思いきや、「スポーツの可能性を探ることができ、充実してます」と顔をほころばせた。

 千葉市出身。バリバリの野球人だった。中学校から硬式球に親しみ、高校でも甲子園を目指し、白球を追った。大学時代、肩の故障で野球をやめたが、社会人になってから、「もう一度現役に」とクラブチーム「千葉熱血MAKING」の門をたたいた。監督は明徳義塾高出身で「松井5敬遠」の投手だった河野和洋さん。野球に対する情熱に触れ、「高知には熱い人がいるんだな」という第一印象を抱いた。

 チームでは主将を務め、都市対抗大会予選で社会人の企業チームとも真剣勝負ができた。充実感を得た中で「このまま野球だけでいいのか」という思いがもたげ、海外に目を向けた。

 27歳の時、カンボジアへ行き、産業育成のための紙工場建設のボランティアなどに携わり、国際貢献を意識する。2年後、青年海外協力隊に応募。野球指導のため、アルゼンチンに赴くことになった。

 海外で気付きがあった。日本では頭ごなしに教え、鍛えることが習慣付いていた。現地では選手自身が納得しなければ、やみくもな練習はしない。相手を理解し、対話を重ねる重要性を、逆に学ぶことができた。3年間の任務を終えて帰国後、読売ジャイアンツの小学生指導組織のコーチになった時には、この時の視点も大いに役立った。

 一方、野球や海外で得た知見を、もっと生かしたいとも考えるように。そんな時に知己を得たのが高知FD関係者。球団経営だけでなく、中南米とも指導者交流を行うなど、海外事業にも積極的なチームに興味が湧いた。協力隊員時代、アルゼンチンで多くの高知出身移民と触れ合ったことにも運命を感じて、高知行きを決めた。

 当時、FDは児童を対象とした県のスポーツ育成事業「くろしおキッズ」の運営を受託することになっており、その業務全般を任された。ラグビー、カヌー、飛び込み…。これまで縁のないさまざまな競技関係者と交わり、企画運営などを話し合った。

 事業を進める中で、共感したのはスポーツ振興に必要な熱意。自分が南米で奮闘したように、高知でも少子化という厳しい現実にめげることなく、工夫を凝らしている人たちの存在を知った。「多くの人とつながって盛り上げたい」。子どもたちの未来に携わる仕事に、気持ちを新たにしている。

好きな言葉

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 もう一つ、大きな仕事は、スポーツによる地域活性化などに取り組む、有志の集まり「県スポーツコミッション」の運営だ。産学も巻き込み、今夏スタートした事業は県全域を網羅する取り組みとなる。新型コロナウイルス禍で広く動くことはままならないが、「機会ができれば、県内各地に出向いて、実情を知りたい」と前向きだ。

 人生のターニングポイントには、常に高知の存在があるような気がしている。「導かれるように来た場所。県人として、多くの人に出会い、自分をアップロードしたい」。スポーツの新たな価値を創造していくつもりだ。

 写真・反田浩昭
 文 ・吉川博之

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