2021.10.08 08:40
県体前コロナ検査は精度低かった? 県外摘発品と同一か、高知県教委困惑
県体前に選手らが使用した簡易検査キット。精度の低さが指摘されている(5月、高知市内)
検査キットは中国製で、唾液を試薬に付けて陽性か陰性かを判定する。県教委は5月の県体前に、選手や大会関係者ら約8500人に配布。陽性が2人出たものの、後の医療機関の診断で偽陽性と確認され、全員が陰性という結果になった。購入費用は約2900万円かかった。
押収された新型コロナウイルス抗原検査キット(9月28日、京都府警福知山署)
新聞報道の写真を見た県教委は、県体で使ったキットと同じだと気付き、すぐさま東京の販売業者に確認。業者は「PCR検査の陽性一致率と遜色ない」と回答したという。
しかし京都府警は本紙の取材に対し、国が承認するキットを製造する大手企業に鑑定を依頼した結果だと強調。実際の陽性者の唾液や鼻の粘膜を採取して実験したところ、問題のキットは無反応で、唾液などを100倍の濃度にして初めて正しい判定が出たという。府警の担当者は「このキットでは正確な判定ができず、感染拡大を助長しかねない」と指摘している。
高知県では幸い、検査が陰性になった生徒らからは県体後も陽性者は出ず、クラスター(感染者集団)の発生もなかった。ただ、キットが〝粗悪品〟だったとすれば、税金を投じた大規模検査に意味があったのかどうか…。
県体当時は医薬品として国に承認された市販キットがなかったという事情もあり、県教委は「少しでも安心安全な大会にするため、WHO(世界保健機関)が『緊急使用リスト』に入れていたキットを選んだ」と説明。京都府警の指摘には困惑気味で「購入先の業者側も調査する考えがあると聞いており、あらためてキットの性能について説明を求める」としている。(宮崎順一)