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2021.09.30 08:40

スノーピーク山井会長に聞く(上)高知は「キャンプの聖地になれる」

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越知町で開かれた講演で熱弁する山井太会長。「高知は日本の自然と風土が残る、突拍子もなくいい所」(同町の町民会館)

越知町で開かれた講演で熱弁する山井太会長。「高知は日本の自然と風土が残る、突拍子もなくいい所」(同町の町民会館)

 人気アウトドアメーカー「スノーピーク」(新潟県三条市)の山井太(とおる)会長(61)が、このほど来高していた。新型コロナウイルス下のアウトドア人気にも後押しされ、同社の売上高はこの10年間で約8倍に。2021年は245億円に上る見込みで、各所から注目を集めている。本県の自然環境を「圧倒的」と評価した山井会長に、アウトドア観光の可能性やコロナ下の人々の暮らしについて聞いた。高岡郡越知町で開かれた講演の内容と合わせ、上下に分けて掲載する。

 ―現代のキャンプ人気の背景をどう見る。

 「キャンプ2日目の朝。日が昇れば目が覚める。体に自然のリズムが入ってきて、都市のストレスや疲れが抜けていく。衣食住の根源的な営みをみんなが共有し、仲良くなる。都市生活者にとって破壊されている個人、家族、コミュニティーが本来の姿に戻る。アウトドアの根源的な使命が、この『人間性の回復』。文明社会が高度になるほど、回復の必要性は増す。コロナが加速させた面もあると思う」

 ―高岡郡越知町と土佐清水市でキャンプ施設を運営されています。高知の印象は。

 「山、川、海が全部そろい、キャンプの力を生かすには最高の素材、題材だ。他の地域とは“手つかず感”が違う。この環境がぜいたくだと、感度が高い人が気づき始めた」

 ―ぜいたくな環境を生かすには?

 「『わざわざ高知に行く理由』をいかにつくるか、その価値を発信できるかがポイント。自然と人間との接点をつくるにはデザインの力が必要だ。例えば宿泊施設やキャンプ施設と周辺のバラエティーに富んだ自然をセットにして発信できたら、人が来るでしょう」

 「素晴らしい体験が担保されているならば『遠い』ということはデメリットにならない。気軽に行けないが、いつか必ず行ってみたい所になる。北海道も似た立ち位置だが、素晴らしさの担保され具合が、高知より少し高いと感じる」

 ―ブームの行方をどう見ている?

 「デジタル社会が進み、巨大市場の中国でもキャンプが必要とされるはず。キャンパーが世界規模で桁違いに増えていく。その中で、北海道や高知といった日本の地方は海外の人にとっても聖地になる。官民挙げて、キャンプフィールドと高知らしい楽しみ方をちゃんと発信できれば、海外からも人が来るだろう」(八田大輔)

 山井太(やまい・とおる) 商社勤務を経て1986年、父の幸雄さんが創業したヤマコウ(現スノーピーク)に入社。96年に36歳で社長就任。おしゃれなオートキャンプを提唱し、卸売業者を通さない販売形態や、顧客と共にキャンプをして意見交換する手法などでファンを広げる。昨春、会長に就任。

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