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2021.08.21 08:40

【WEB増補版】「竜とそばかすの姫」高知ゆかりのスタッフ、美術監督・池信孝さんに聞く

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 高知が舞台のモデルとなったアニメーション映画「竜とそばかすの姫」(TOHOシネマズ高知で上映中)の制作には、高知ゆかりのスタッフも参加している。父親が高岡郡越知町出身で美術監督を務めた池信孝さん(56)。細田守監督とのやりとりや制作の裏側をオンラインで語ってもらった。 

「『自分たちが見ている高知の風景だ』と喜んでくれる人が何人もいて、ちゃんとできたんだな、と思った」と話す池信孝さん(東京都国分寺市の自宅)

「『自分たちが見ている高知の風景だ』と喜んでくれる人が何人もいて、ちゃんとできたんだな、と思った」と話す池信孝さん(東京都国分寺市の自宅)

 ―自身の高知との関わりは。

 「父親が高岡郡越知町出身。自衛官で転勤が多かった。子どもの頃は夏休みに帰ってました。成人してからは仕事の忙しさにかまけて、頻繁に帰省できていなかった。そんな私が、高知が舞台の作品を手掛けるのは不思議な感じです」

 ―作品に携わった経緯は。

 「『シン・エヴァンゲリオン劇場版』をやっていた2020年の6月ぐらい、スタジオ地図から声を掛けてもらった。今まで自分がやってきた作品から考えると、細田作品とは傾向が全然違うので『本当に私でいいんですか』と何度も質問した」

 ―「傾向が違う」とは。

 「自分は『パプリカ』(2006年、今敏監督)から完全にデジタル。細田作品はこれまで手描きだったので風合いが違ってくる、と。自然の風景をあまり手掛けてこなかったので『いけるかなー』と思ったが、スタッフは手だれの方が多かったので助けていただいた」※「竜とそばかすの姫」の背景美術はフルデジタル

 ―背景美術を統括する美術監督の仕事は。

 「最初に(作品の世界観や雰囲気を表現する)『美術ボード』を数十点描いて、スタッフ全体に知ってもらう。実際に背景カットを担当する人たちのために資料をそろえたり、追加でボードを用意したり。最終的に仕上げてもらった背景を、全体的に俯瞰(ふかん)したかたちで調整し、監督らにチェックしてもらう」

 ―細田監督からの指示は。

 「最初に『仁淀川の独特の青さ、透明度を背景さんの力で再現したい』と伝えられた。あとは鏡川の表情。あれは背景というより撮影さんの技量によるところだが、そういう風景をきれいにつくりたいんだ、と」

 「主人公は過去の心の傷でうっ屈している。でも彼女が過ごしている周りの世界、高知の自然やまちは、彼女の思いとは関係なく、明るく輝いている。そういうものを目指してほしい、と。『すずの精神的なものに引っ張られず、暗くしないでほしい』、とのことだった」

 ―その意図は。…

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