2021年 12月03日(金)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2021.03.15 08:41

ネットで高知の不動産物件探し拡大 都会からの利用が加速

SHARE

携帯電話のビデオ通話機能を使い、東京の顧客に賃貸物件を紹介する「オンライン内見」(南国市内)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、仕事や生活のオンライン利用が広がり、高知県内の不動産業界が様変わりしつつある。現地を訪れることなく、賃貸物件の下見、商談をオンラインで済ます例が増加。特に都会から高知市などへ転勤する人の利用が顕著になっているという。

 「コロナ禍を機に、県外客の8、9割は来店せずに賃貸契約するようになった」

 この1年の変化に驚くのは、県外客にも賃貸物件を仲介している高知市の不動産業者。

 これまで不動産業者には、賃料や解約時の条件といった重要事項説明を対面で行うよう義務付けられていた。それが2017年10月、国の規制緩和でオンラインでの対応が可能になった。

 高知県内でも大手を中心にオンライン対応が進んだものの、当初は「やはり実際に物件を見て決めたいというお客さんが多かった」という。

 それがコロナ禍で一変。遠距離移動をせず契約できる点が大きな強みになった。移動コストや手間を軽減できる利点もあり、普及を後押ししている。

 こうした動きは賃貸だけでなく、不動産売買にも波及。都会の個人投資家らはいま、地方の優良物件に熱い視線を注いでいるという。取引の最前線を探った。

商談用に不動産業者が用意する賃貸物件のVR画像。顧客がパソコンなどを通して見ると、360度自由自在に物件内を見て回ることができる(高知市内)

双方に「恩恵」
 「靴の収納棚も大きく、お子さまがいる家庭でも大丈夫です」

 南国市内の賃貸アパート。不動産会社「アパマンショップ高知東店」(高知市介良乙)のスタッフが携帯電話のビデオ通話機能で、東京都内の女性(42)に室内を生中継。物件の詳細を説明した。


 アパマンショップ高知東店は、2019年からオンライン対応を順次強化。ネット経由で内見、商談できる環境を整え、顧客が物件を歩いて見て回れるような仮想現実(VR)体験も提供する。商談がまとまれば契約。書類を郵送でやりとりすれば、借り手は一度も来店せずに全て手続きを終えられる。

 先の女性は今春、家族で高知県内に引っ越す予定。初体験のオンライン内見に「人の動線なども具体的にイメージできた。コロナ禍で東京から高知には行きにくいので助かった」と安堵(あんど)する。

 同じく高知市に転勤する都内の30代男性は「オンラインで経費を浮かせ、エアコン購入費に充てたい」。何かと膨らむ引っ越し費用を抑える意味でもメリットは大きいようだ。

 恩恵は業者側にも。アパマンショップ高知東店を運営する福重設計(高知市)の恒石潤専務は「顧客の都合に合わせ、平日の仕事の合間や夕方以降にやりとりできる。相談が立て込む土日の業務緩和につながっている」。

 福重設計は一戸建て住宅の建築、仲介にもオンラインを活用。恒石専務は「相談件数は3倍以上に増えた。売り上げ増も見込めそう」と声を弾ませる。

高相場で人気
 オンライン化の波は賃貸だけでなく売買にも押し寄せている。国は2019年に、登録業者に限ってオンライン売買を解禁。高知県内に登録業者はないものの、賃貸収入を目的とした県内の「収益物件」に県外の投資家が熱い視線を注いでいるという。

 複数の不動産業者によると、高知県は家賃相場が比較的高いため人気があり、特に人口の多い高知市の物件は引き合いが多いそう。高知市北部の業者も「投資家向けの仲介業者から『一棟ごと買える収益物件を紹介してほしい』という連絡は頻繁にある」と話す。

 高知県宅地建物取引業協会の小笠原一雄副会長は「県外では現地で下見せず、何千万円もの収益物件をオンラインで買う投資家も出てきている」。こうした動きを後押しするように、国は今春、登録業者以外にもオンライン売買を解禁する方針だ。

 「高知の不動産は南海トラフ地震で倒壊する恐れがあるが、一部投資家は目先の利益確保狙い」と別の不動産業者。「オンライン化で県外投資家も買いやすくなり、入居者が知らないうちにオーナーが県内から県外の人に代わっていたという事例が増えるのでは」

 県内には、対応が遅れている中小の不動産業者も多くある。商機を逃さないためにも、オンライン化への対応が急務となりそうだ。(東京支社・安岡仁司)

高知のニュース 経済

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月