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2021.03.02 05:00

【山田広報官辞職 】首相の責任が問われる

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 放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男らから高額の接待を受け、批判されていた山田真貴子内閣広報官が辞職した。
 山田氏は2月25日の衆院予算委員会に参考人として出席した際、野党議員の質問に「職務を続けていく中で改めて反省したい」などと答え、辞職を否定していた。
 28日に体調不良で病院を受診し、2週間程度の入院と加療が必要と診断された。病院から連絡し、辞意を伝えたという。
 2019年、総務省総務審議官だった山田氏は同社から7万4千円に上る接待を受けたことが明らかになり、辞意を漏らしたが、首相官邸幹部が「辞める必要はない」と慰留したとされる。
 慰留は首相の意を受けたと考えて間違いない。山田氏は13年、当時の安倍政権で首相秘書官となって15年まで務めた。総務省で退官を迎えた後、昨年内閣広報官に就任した。総務副大臣、総務相を歴任して総務省に強い影響力を持つ首相は山田氏を抜てきし続けた。
 その山田氏が辞職すれば、政権への打撃は大きいと想定し、慰留に努めたのではないか。ところが、山田氏は辞職する道を選んだ。山田氏に衆院予算委で答弁させ、幕引きを図ろうとしたところが、かえって波紋を広げてしまった。世論を見誤ったのは否めまい。首相の判断ミスというしかなく、厳しく責任を問われなければならない。
 接待について総務省は、国家公務員倫理法に基づく国家公務員倫理規程が禁じる利害関係者からの違法接待と認めている。総務省は事務方トップの事務次官級に当たる総務審議官ら11人を懲戒処分とした。山田氏は現在は特別職の国家公務員で首相から厳重注意処分を受けた。
 それでも批判は収まらなかった。先に新型コロナウイルス緊急事態宣言の一部解除に当たり、首相が記者会見を開かなかったことでも、会見では通常、山田氏が司会をすることから関連が指摘された。
 国家公務員倫理法は、官僚が収賄罪に問われた旧大蔵省の接待汚職がきっかけとなり施行された。
 倫理規程で公務員は国民全体の奉仕者であるとして、利害関係者から供応接待を受けることを禁止している。給与を自主返納したとはいえ、山田氏の行動は到底、許されるものではない。
 東北新社側は「重大な事態を招いた」として社長が引責辞任し、首相の長男も懲戒処分を受けている。
 解せないのは首相が「長男とは完全に別人格だ」と述べ、人ごとと捉えているように映る点だ。接待した側は首相の威光を利用し、された側は忖度(そんたく)、保身に走ったとも取れる。
 首相は自らに異を唱える官僚には「反対するなら異動してもらう」と公言している。強権的な一方で、意に沿う者は厚遇しようとする。そんな姿勢が生み出した問題ともいえ、人ごとではない。行政府の長として首相は国民の疑念に誠実に応える必要がある。

高知のニュース 社説

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