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2021.02.21 08:00

【株価3万円台】熱気にほど遠い実体経済

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 日経平均株価が高値圏で推移している。終値は5営業日連続で3万円台を維持した。節目となる3万円の突破は、バブル期だった1990年以来30年半ぶりだ。
 だが、実体経済は新型コロナウイルス感染症で深刻な打撃を受けている。緊急事態宣言が再発令され、景気の先行きは依然不透明だ。
 株高の恩恵は株を保有する富裕層にあっても、多くの声は実感がないというものだ。期待先行の株価上昇には警戒感も強い。市場の熱気に違和感は拭えない。
 感染拡大に伴う景気悪化への懸念が強まった1年ほど前、世界的な株安局面に陥った。市場の動揺を抑えるため、各国は強力な財政・金融政策を取り入れる。中央銀行の大規模な資金供給を背景とする大量の余剰資金が市場に流れ込んだ。日銀は上場投資信託(ETF)の年間購入枠を拡大して相場を買い支えた。
 コロナ下で、当面は各国が金融緩和や財政出動を続けるとの観測が、投資家の安心感につながっていると言われる。日本でも接種が始まった新型コロナワクチンが普及することで経済活動が正常化し、企業業績が回復する期待も大きい。
 しかし、株価と実体経済の乖離(かいり)は鮮明だ。
 2020年は11年ぶりにマイナス成長に沈んだ。物価変動を除く実質国内総生産(GDP)速報値は、前年比4・8%減となった。リーマン・ショック後の09年に次ぐ悪化幅だ。個人消費は過去最大の悪化幅となり、設備投資も振るわなかった。輸出も大きく減少した。
 消費や企業活動は大きく制約され、業績は二極化が進んでいる。輸出に支えられる大手製造業や外出自粛に対応するIT関連、巣ごもり需要を取り込む企業がある一方、回復のめどが立たない業種もある。
 新型コロナ関連の全国倒産件数は、この1年で千件に達した。業種別では飲食が多く、アパレル関連、建設、ホテル・旅館が目立つ。
 外出自粛や営業時間の短縮要請などで売り上げが低迷し、資金繰りが苦しくなっている。政府の実質無利子・無担保融資など公的支援が倒産抑制につながっているが、コロナ禍の長期化で経営体力が弱い中小・零細企業への打撃は強まっている。
 給与の減額や解雇が増えており、格差拡大も指摘される。20年10~12月期のGDP速報値ではプラス成長だったが、個人消費は思ったほど伸びていない。
 緊急事態宣言が再発令された21年1~3月期は経済活動が縮小し、再びマイナスに陥るとみられている。景気ウオッチャー調査は、現状判断指数が1月まで3カ月連続で悪化している。政府が4・0%程度と見込む21年度のGDP実質成長率には懐疑的な見方が多い。
 日銀のETF購入が市場の健全な価格形成をゆがめているとの指摘があり、また株価下落により日銀の財務が悪化する懸念もある。「官製相場」に浮かれることなく、実体経済の回復に努めることが必要だ。

高知のニュース 社説

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