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2021.02.17 08:00

【トランプ氏無罪】民主主義否定の責任残る

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 米上院は、連邦議会襲撃をめぐるトランプ前大統領の「反乱扇動」を問う弾劾裁判で無罪評決を言い渡した。定数100の上院で、共和党から7人が造反して賛成票を投じたが、賛成は57で有罪に必要な出席議員の3分の2には届かなかった。
 大統領選の結果を受け入れようとせず、暴徒と化したトランプ氏支持者が議会議事堂に集結。窓ガラスを割って侵入するなどして議事を妨害した。トランプ氏は支持者を扇動する演説をしている。
 米国の威信を大きく傷つける前代未聞の事件だったが、その責任は弾劾では不問とされた。もっとも評決は政治的な勢力争いの結果とみるべきだろう。
 上院では民主、共和両党の勢力が拮抗(きっこう)していることから有罪へのハードルは高いとみられていた。トランプ氏には岩盤支持層といわれるほど固い支持者がいる。多くの共和党議員は、トランプ氏が持つ影響力を考慮し、造反する動きはさほど広がらないとの見方も強かった。
 ただ、無罪評決をもって事件の責任なしとしてはならない。トランプ氏は選挙自体を否定し続けて敗北を認めず、支持者に議会へ向かうよう呼び掛けた。大統領の座にあった人物が関わった事件によって死者5人が出ている。
 トランプ氏は襲撃翌日に「暴力や無法に憤っている」と批判はしたものの、襲撃を一切止めようとしなかった。演説は暴力を容認したに等しい。自らの責任にはいまだに言及していない。
 無罪票を投じた共和党議員の中から「道義的責任」を指摘する声が出ている。指導者として正しい行動だったかが問われているのだ。トランプ氏はこの事実を重く受け止めなければならない。
 事件はトランプ氏の政治姿勢が招いたものとも考えられる。事実を受け入れず、ねじ曲げたり攻撃的に発言したりすることがあった。他者の意見、立場の違いを認めず、強硬さも目立った。混乱と分断が国内外に広がったことは間違いない。
 弾劾制度は「反逆、収賄、または重罪と不品行」に問われた大統領らを罷免するかを裁判で決める。退任した後でも有罪評決が出た場合、公職に就く資格の剥奪につながる可能性があるという。
 無罪評決を受け、政治生命が尽きることはなかった。トランプ氏は早速、再起を期す意向を表明した。発表した声明では、「光り輝き、無限の可能性を持つ米国の未来に向けたビジョンとともに、われわれは近く現れる」と述べている。
 「アメリカ第一主義」を熱狂的に受け入れた自らの支持層を意識しているのだろう。これまでの政治信条を今後も変えないであろうことも読み取れる。
 しかし、議会議事堂は民主主義の象徴のはずだ。支持者による議事妨害を止めなかったのは民主主義の否定に当たる。議事堂で再び政治に携わる資格が自らにあるのか、トランプ氏は考えなければならない。

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