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2020.10.06 08:00

【トランプ氏感染】混乱招いた甘い危機管理

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 投票まで1カ月を切った米国大統領選は前例のない混乱に陥り、選挙戦の展開は一層不透明になった。
 共和党の現職、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し、入院治療する事態になった。高齢でもあり、予断を許さない警戒状況が当面続くという。まずは早期に快方に向かうよう望む。
 とはいえ、政権運営にも支障が出かねない事態だ。安全保障や経済をはじめ、世界情勢に多大な影響を及ぼす超大国の政権として、がくぜんとする危機管理の甘さである。
 あろうことか、米国政治の中枢ホワイトハウスでクラスター(感染者集団)が発生した疑いが濃厚になっている。
 9月下旬、保守派の最高裁判事指名の式典に出席した共和党上院議員や、元大統領顧問らの感染が次々に判明した。
 出席者にマスク姿はほとんどなく、社会的距離を気にする様子もなかったという。米紙ワシントン・ポストは「ウイルスに対する軽率で傲慢(ごうまん)な態度」と非難している。
 コロナの脅威を軽視するような、トランプ氏のこれまでの姿勢が招いた事態といわれても仕方あるまい。
 選挙戦では、マスク着用義務なしの大規模集会を強行。根拠を示さず「(ウイルスは)ある時点で消える」とも発言した。9月末の候補者討論会では、民主党のバイデン氏について「巨大なマスク姿で現れる」と語るなど、着用する人をやゆする発言もあった。
 米国の感染者数は700万人を超え、死者も20万人を超えた。ともに国別で最も多い。ニューヨーク市では感染がぶり返し、一部地区で再び都市封鎖措置を取る方向だ。
 本人の感染は、ある程度の同情を集めるのかもしれない。ただし、今後の選挙戦では、まずさが指摘されてきたコロナ対応への関心が再び高まることにもなろう。
 トランプ氏の病状については医師団や側近から楽観論と慎重論が飛び交い、実際の容体は不透明だ。
 超大国の最高責任者の体調は詳細に明かせない事情があるとしても、政権の情報公開のあり方に批判が出ている。選挙戦で不利にならないようにする政治的思惑が先行することは許されない。
 11月3日の投票日までの日程も流動的になっている。2回を残す大統領候補者討論会も開催は見通せていない。
 1回目の討論会は、中身のある政策論争とはほど遠い前代未聞の中傷合戦に終わった。「米国の恥」と酷評されたままだ。
 その論点だったコロナ対応や人種差別問題などにとどまらない。日本を含む同盟国や、中国、ロシアなどとの外交、トランプ政権が背を向け続けてきた国際協調体制への識見といった議論も不足している。
 当面はトランプ氏の復帰が焦点となるが、自由と民主主義を重んじる超大国の責任を果たす論戦が行われなければならない。 

高知のニュース 社説

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